派遣社員の有休っていつから発生するの?
派遣社員の年次有給休暇(以下、有休とします)取得は、最低でも同一の派遣会社への入社の日から6カ月以上の経過が条件です!
派遣社員が有休を取得できるのは知っていても、いつから取得できるかを知らない方は多いです。
一労働者として必ず押さえましょう。
派遣社員で有休を取得できるのはいつから?
有休が付与される要件は、以下のとおりです
この要件を満たした労働者は、10日の有休が付与されますが、所定労働日数が少ない労働者の場合、労働日数に応じた日数が比例的に付与されます。
たとえば4月1日に就業を開始したら、10月1日に初めて有休が付与されます。
派遣社員が有休を取得するには、まず6か月間の継続勤務が必須です!
派遣社員の有休付与日数はどれくらい?
雇用形態を問わず、要件を満たせば、最初に有休を付与されてから、毎年付与される日数が増え、継続勤務年数が6年半以上になると最大で20日分が毎年付与されます。
有休付与の詳細な日数は、以下の表を参考にしてください。
週所定 労働日数 | 継続勤務年数 | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
半年 | 1年半 | 2年半 | 3年半 | 4年半 | 5年半 | 6年半以上 | ||
付与日数 | 5日 | 10日 | 11日 | 12日 | 14日 | 16日 | 18日 | 20日 |
4日 | 7日 | 8日 | 9日 | 10日 | 12日 | 13日 | 15日 | |
3日 | 5日 | 6日 | 6日 | 8日 | 9日 | 10日 | 11日 | |
2日 | 3日 | 4日 | 4日 | 5日 | 6日 | 6日 | 7日 | |
1日 | 1日 | 2日 | 2日 | 2日 | 3日 | 3日 | 3日 |
派遣社員が有休を取得できるのはいつまで?
取得した有休はいつまで使えるの?永遠に使える?
残念ですが、有休は永遠には使えません…。
有休は与えられて2年を過ぎると時効で消滅し、それ以後の繰り越しはできません。
有休は2年以内に取得しないともったいないですね。
有休は、法律で定められた働く人の権利です。良く働いたご褒美だと思ってください。休暇をとってリフレッシュすることが一番の目的です。良い仕事をして、休んで、また、いい仕事をする。良い仕事をすれば評価も上がりますね。効果的に活用しましょう!
有休の賃金算定ルールには3つの方法があるので注意!
有休中の賃金に関しては労働基準法に規定があり、以下1~3のいずれかを使って計算します。
- 通常の賃金
- 平均賃金
- 健康保険法による標準報酬月額の30分の1に相当する金額
①通常の賃金
所定労働時間働いた場合に支払われる賃金です。
例えば、時間によって定められた賃金の場合は、その金額にその日の所定労働時間数を乗じた金額となります。
②平均賃金
→労働基準法で定められた手当や補償額などを算定するときの基準となる金額です。
平均賃金の計算方法は次のとおりです。
「過去3カ月の賃金合計額を過去3カ月の休日も含めた総日数で割った額」
ただし、日給や時給などで働いている人は、以下の最低保証額があります。
「過去3カ月の賃金合計額を過去3カ月の労働日数で割った額の6割の額」
③健康保険法による標準報酬月額の30分の1に相当する額
標準報酬月額は社会保険料の計算のベースとして使われます。多くの場合、標準報酬月額は毎年4月~6月の各月に支払われる給与や各種手当の平均額を標準報酬月額表にあてはめることによって決定されます。
例えば4月~6月の各月に支払われる基本給や各種手当の平均額が23万5,000円だとすると「23万円以上25万円以下」の区分に該当するので、標準報酬月額は24万円となります。
以下は東京都の令和3年度保険料額表(令和3年4月分から)です。参考にしてみてください。
報酬月額(以上~未満)、単位:円 | 標準報酬(月額)、単位:円 |
---|---|
~63,000 | 58,000 |
63,000~73,000 | 68,000 |
73,000~83,000 | 78,000 |
83,000~93,000 | 88,000 |
:(中略) | :(中略) |
210,000~230,000 | 220,000 |
230,000~250,000 | 240,000 |
250,000~270,000 | 260,000 |
(引用元ページ:平成3年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表)
派遣社員がスムーズに有休を取得する3ステップ!
有休って取りたくても取りにくいのよね…。
ちゃんとポイントを押さえれば、スムーズに取得できますよ!
有休をスムーズに取得するフローは以下の通りです。
- 派遣会社の担当者に有休を取りたいと伝える
- 派遣会社の指示に従って派遣先に相談&日程調整
- 有休取得!
①派遣会社の担当者に有休を取りたいと伝える
まずは派遣会社(派遣元)の担当スタッフ等に連絡し、以下2点を伝えます。
- いつ有休を取りたいのか
- 何日間有休を取りたいのか
会社に迷惑をかけないよう、早めの申請を心がけましょう!
②派遣会社の指示に従って派遣先に相談&日程調整
連絡後、派遣会社から「派遣先の上司に取得したい旨を相談してください」と言われたら、派遣先に申請しましょう。
場合によっては、「取得日の〇〇日前までに、派遣先へ申請してください」との連絡を受けるかもしれません。
派遣会社の次に派遣先へ連絡を入れるのがポイントです!
③有休取得!
滞りなく派遣会社と派遣先に連絡を入れられたら、有休ゲットです!
派遣社員の有休にまつわる疑問
有休の申請が拒否されることはある?
なかには「別の日に有休を取得して欲しい」と言われるケースもあります。
有休は、要件に該当すれば法律上当然に発生する権利ですが、年末年始など特に業務が繁忙な時期など、事業の正常な運営を妨げる場合には、会社が有休を取得する日を変更することができます。
これを「時季変更権」と言います。ただし、会社には、勤務割を変更したり、代替要員を配置するなどの配慮が求められ、安易な「時季変更権」は認められません。
時季変更権が認められる場合であっても、求めているのは時季の変更ですから、有休の取得を拒否することはできません。
派遣先が変わっても有休は引き継がれる?
結論を先に言うと、派遣先が変わっても有休は引き継がれます。
派遣先の勤務が短期間になるなど変わったとしても、同じ派遣会社に継続して勤務していれば、継続年数は通算されます。
とはいえ、新しい派遣先が決定するまで一定期間まったく仕事をしていないと、有休取得条件である「継続勤務」の項目を満たせなくなり、有休が消滅するので注意しましょう。
当日に有休取得はできる?
たとえば急な発熱で休む場合、その日の朝のうちに派遣会社に連絡を入れておけば、当日を有休扱いにしてもらえることがあります。
通常は、就業規則等に、有休の申請に関する取り扱いが定められていると思いますので、確認されると良いでしょう。
有休の取得理由は必要?
冠婚葬祭や病気のときに有休を取る方は多いですが、それ以外の理由でも有休は取得できます。
単にリフレッシュのため、という理由であっても一向に構わないのです。
有休を取得するのに、理由は必要ありません。
これから有休が取りやすくなる?
令和元年4月から、有休の確実な取得を推進するため、年10日以上の有休が付与される人は、年5日については、会社が時季を指定して取得させることが義務付けられました。
厚生労働省の調査によれば、令和2年の有休の取得率は、56.3%となっています。まだまだ取得しにくい現状ではありますが、「5日取得義務」により、取得率のさらなる上昇を期待したいものです。
5日の取得義務に関しては、会社側は罰則の適用もあります。年度の終わりに慌てて取得すると、派遣元にも、派遣先にも迷惑をかけることになります。
あらかじめ、年間の計画を立てて消化するようにしたいものです!
計画的に有休を取得し、しっかりリフレッシュして気持ちよく働きましょう!