派遣会社に登録して『マージン』『ピンハネ』って言葉を聞くようになったけど何のことだろう…。まさか搾取?
派遣でいうマージン(ピンハネ)とは、「派遣料金から派遣社員への賃金を引いた金額の割合を表すもの」です!
派遣会社もビジネスなので、利益を出すためにもこの「マージン」が大きく関係します。
また、平成24年度の労働者派遣法の施行により、派遣会社はマージン率公開を義務付けられました。
これは私たちが派遣会社に登録する際の判断材料にもなります。
最適な派遣会社を選択するためにも、マージン率のことをしっかり押さえましょう!
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そもそも派遣会社のマージン率ってなに?
マージン率がいまいちピンとこない方に向けて、まずはカンタンに概要をおさらいします。
下の図を見てください。
派遣先企業が派遣会社に支払う派遣料金、派遣会社が労働者に支払う賃金、そして派遣料金から賃金を引いたものがマージンにあたります。
マージン率とは?
「派遣料金から派遣スタッフへの賃金を引いた金額の割合を表すもの」で、以下の計算方法で求められます。
【マージン率】=(派遣料金の平均額-派遣社員の平均賃金)/派遣料金の平均額
派遣会社は派遣先企業にスタッフを派遣して、その派遣先から派遣料金を受け取ります。
派遣料金の多くは派遣スタッフに還元され、派遣会社にはその一部が入ります。
さらに派遣会社はこの取り分から教育研修費、社会保険費、福利厚生費などを支払うため、すべてが利益になるわけでもないです。
この紹介手数料が低ければ良しと思うかもしれませんが、それだと派遣会社の運営に悪影響を及ぼす可能性もあるので、低ければ良いわけでもないのです。
マージン率以外の情報も併せ、総合的な判断をするのが大切です!
大手派遣会社7社のマージン率を一覧で比較してみました
マージン率の概要をおおよそ理解していただけましたね。
ここからは、以下の大手派遣会社7社が公開するマージン率をご紹介します。
7社のマージン率を一覧で比較すると以下の通りです(マージン率は、各派遣会社で最新版を掲載)
≪大手派遣会社名≫ | ≪マージン率(各派遣会社で最新のもの)≫ |
---|---|
アデコ | 31.6% |
テンプスタッフ | 30.2% |
ヒューマンリソシア | 30.2% |
リクルートスタッフィング | 30.0% |
スタッフサービス | 29.5% |
パソナ | 27.5% |
ランスタッド | 27.4% |
上記7社の数値で見ていくと、マージン率(手数料)の相場・平均は「約29.49%」でした。
上記7社で相場より低めなのがパソナ、ランスタッドで、相場より高めなのはスタッフサービス、リクルートスタッフィング、ヒューマンリソシア、テンプスタッフ、アデコでした。
マージン率だけですべてを判断すべきではないのですが、参考の価値はありますので必ずすべてに目を通しましょう。
以降表内の項目表記は派遣会社ごとに若干異なりますが、意味合いとしてはどれも同じものと判断してください。
※以下よりご紹介する派遣料金の内訳は、各派遣会社での表記もとに作成しています。
スタッフサービスのマージン率&料金内訳
以下は2019年度のスタッフサービス(新宿事業所)のマージン率と料金内訳です。
労働者派遣に関する料金額の平均額 (1日8時間あたり) | 17,760円 |
派遣労働者の賃金額の平均額 (1日8時間あたり) | 12,525円 |
マージン率 (小数点第2位以下を四捨五入) | 29.5% |
<平均的な派遣料金の内訳>
(引用元・参考ページ:スタッフサービス-~「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」第23条第5項に基づく情報公開~)
テンプスタッフのマージン率&料金内訳
以下は2019年度のテンプスタッフ(新宿オフィス)のマージン率と料金内訳です。
日雇派遣以外の1日8時間あたりの労働者派遣の料金額の平均(※1) | 18,744円 |
日雇派遣以外の1日8時間あたりの派遣労働者の賃金額の平均(※2) | 13,080円 |
マージン率 (※1-※2)/(※1) 小数点第2位以下を四捨五入 | 30.2% |
<平均的な派遣料金の内訳>
(引用・参考元ページ:テンプスタッフ-パーソルテンプスタッフの派遣事業状況)
リクルートスタッフィングのマージン率&料金内訳
以下は2019年度のリクルートスタッフィング(銀座本社)のマージン率と料金内訳です。
労働者派遣に関する料金の額の平均額 (1日8時間あたりの額) | 20,128 円 |
派遣労働者の賃金の額の平均額 (1日8時間あたりの額) | 14,086円 |
マージン率 | 30.0% |
<平均的な派遣料金の内訳>
※リクルートスタッフィングでは内訳の明記がありませんでした。
(引用元ページ:リクルートスタッフィング-労働者派遣事業に係わる情報提供)
アデコのマージン率&料金内訳
以下は2018年度のアデコ(西東京支社)のマージン率と料金内訳です。
労働者派遣の料金の額の平均(1日8時間/円) | 18,674 円 |
派遣労働者の賃金の額の平均(1日8時間/円) | 12,776 円 |
マージン率(小数点第2位以下を四捨五入) | 31.6 % |
<平均的な派遣料金の内訳>
※アデコでは内訳の明記がありませんでした。
(引用元ページ:アデコ-労働者派遣実績等公開情報)
ランスタッドのマージン率&料金内訳
以下は2019年度のランスタッド(立川支店)のマージン率と料金内訳です。
派遣料金平均額(1日8時間/円) | 14,464円 |
労働者賃金平均額(1日8時間/円) | 10,504円 |
マージン率の平均 | 27.4% |
<平均的な派遣料金の内訳>
(引用・参考元ページ:ランスタッド-労働者派遣事業を行う事業所ごとの情報提供)
ヒューマンリソシアのマージン率&料金内訳
以下は2019年度のヒューマンリソシア(東京本店)のマージン率と料金内訳です。
労働者派遣に関する料金の額の平均額(1人1日8時間当たり) | 19,219円 |
派遣労働者の賃金の額の平均額(1人1日8時間当たり) | 13,416円 |
マージン率の平均(小数点2位以下四捨五入) | 30.2% |
<平均的な派遣料金の内訳>
※ヒューマンリソシアでは内訳の明記がありませんでした。
(引用元ページ:ヒューマンリソシア-【東京本社】労働者派遣法第23条第5項に基づく情報提供(2019年度))
パソナのマージン率&料金内訳
以下は2019年度のパソナ(パソナ・新宿)のマージン率と料金内訳です。
平成30年度労働者派遣に関する料金の額の平均額(全業務平均) | 22,479円 |
平成30年度派遣労働者の賃金の額の平均額(全業務平均) | 16,086円 |
マージン率の平均(小数点2位以下四捨五入) | 27.5% |
<平均的な派遣料金の内訳>
(引用元ページ:労働者派遣法第23条第5項及び同法規則第18条の2第3項に基づく情報提供(補足) )
平成24年改正から、すべての派遣会社がホームページなどでマージン率を情報公開しており、令和3年改正では、派遣料金や派遣労働者の賃金の平均額も同じ方法で公開されます。確実に確認して事前情報を整理しておきましょう。
マージンは派遣会社でどう使われている?
アデコでは31.6%と比較的高く、そのマージンは一体何に使われているのか、気になりますよね。
大手派遣会社のマージン率は高めに設定されている傾向にあります。その理由は以下の通りです。
- 有給に関わる費用
- 求人広告費
- 派遣社員の福利厚生サービスの拡大
- 派遣社員の教育訓練費用
①有給に関わる費用
派遣社員は雇用期間が6か月を超えると、有給休暇を取得できます。
有給に関わる費用は派遣会社から出され、マージンから支払われます。
②求人広告費
大手のスタッフサービスやテンプスタッフのテレビCMって、よく見かけますよね。
派遣会社が多くの人材を確保するためには、広告媒体を使って宣伝するケースもあります。
この時に発生する求人広告費もマージンから支払われます。
③派遣社員の福利厚生サービスの拡大
ここでの福利厚生とは、社会保険の費用、キャリアアップ支援制度、ベビーシッター割引などが該当します。
派遣社員が快適に働けるよう工夫していますが、福利厚生サービス拡大のためにもマージン率を引き上げています。
ちなみに派遣会社のテンプスタッフは、福利厚生サービスが充実していて評判です。
特に女性の方向けのサービスもいくつか見られますので、気になる方は以下の記事ものぞいてみてください。
④派遣社員の教育訓練費用
主に未経験者に向けて設けられたOAスキル研修、資格の講習サービスも該当します。
派遣社員の教育訓練の費用として、マージンから支払われています。
マージンからは派遣社員の有給や教育訓練の費用も支出されるため、必ずしも低い会社が良いとは限りません。令和3年改正で登録時の説明義務に追加されたキャリアアップの教育訓練の内容なども、しっかり確認したいものです。
マージン率について大手と中小派遣会社で考えてみよう
例えば、マージン率40%の派遣会社Aとマージン率30%の派遣会社Bを比較したとき、マージン率の低い派遣会社Bのほうが単純に支給額が増えます。
ちなみに、中小派遣会社のなかにはマージン率の低い企業がいくつか存在し、大手派遣会社と変わらないくらいの時給相場の求人もあります。
続いて大手と中小の派遣会社で比較しましょう。
大手派遣会社C社
時給1500円:マージン率40%
中小派遣会社D社
時給1500円:マージン率30%
それぞれの派遣会社で同じ条件の求人が出されている場合、マージン率の低いD社のほうが果たして派遣社員に利益を還元している良い会社といえるのでしょうか?
マージンというのは粗利であり、マージンには社会保険料や有給休暇費用、教育研修費用、営業担当の人件費などの必要経費が含まれています。
必要な研修施設や制度などが整っておらず、規模の小さい派遣会社ということもあります。
マージン率が低い派遣会社では、充分なサービスを受けられなそうですね…。
派遣会社にはマージン率の公開義務がある
労働者派遣法(派遣法23条5項)の内容により、派遣会社にはマージン率の公開義務があることも押さえておきましょう。
なお厚生労働省によると、マージン率について情報提供するときは、ネット・関係者・派遣労働者にとっての必要情報を提供することが原則です。
上記については、2021年4月1日より派遣法改正によって公開が原則化されています。
ちなみにマージン率以外にも、派遣労働者数、派遣先事業者数なども、情報提供の対象になっています。
まとめ~マージン率だけで派遣会社を選ばないようにしよう!~
最後にこの記事の内容を簡単にまとめます。
<派遣会社のマージン率とは>
<派遣会社のマージン率の計算方法>
<大手派遣会社のマージン率一覧>
≪大手派遣会社名≫ | ≪マージン率(各派遣会社で最新のもの)≫ |
---|---|
アデコ | 31.6% |
テンプスタッフ | 30.2% |
ヒューマンリソシア | 30.2% |
リクルートスタッフィング | 30.0% |
スタッフサービス | 29.5% |
パソナ | 27.5% |
ランスタッド | 27.4% |
<派遣会社のマージンの使われ方>
- 有給に関わる費用
- 求人広告費
- 派遣社員の福利厚生サービスの拡大
- 派遣社員の教育訓練費用 など
派遣会社にはそれぞれ特徴があります。求人数、スタッフの対応やサポートの質、事業所数などさまざまです。
それはマージン率でも同じことがいえますが、一つ気を付けてもらいたいことがります。
それは、派遣会社をマージン率だけで比較しないことです。
マージン率だけで派遣会社を決めてしまうと、他の派遣会社のサービスの良さに気づかないまま働くことになり、結局後悔します。
複数の優良派遣会社の口コミ・評判を参考にして比較し、より希望条件に沿ったものを選ぶのが失敗しない派遣会社の選択の仕方です。
マージン率だけで派遣会社を判断することはできませんが、運営状況が表れる大事な数字ですので、派遣社員目線で見方をマスターしたいものです。また、情報公開されているさまざまな情報から、意外な発見があるかもしれません。