
派遣会社って倒産したら、派遣社員の私ってどうなるんだろう…!

派遣会社が倒産したら少々厄介なんですよね…。今回はその点を細かく解説します!
派遣会社の倒産、とくに派遣社員の方からすれば起きてほしくないことかと思いますが、必ずしも起きないとはいえません。
実際、派遣会社の「株式会社グッドウィル」は、2~4か月の事業停止命令を受けてその後倒産しています。
とはいえ気になるのは派遣会社が倒産したとき、そこで登録した派遣社員自身がどんな影響を受けるか、といったところですよね。
Yahoo!知恵袋では実際に懸念の声が挙がっています。
派遣会社は倒産しませんか?
最近各会社は不景気で派遣切りを多くしていますが、仕事が少なくなった派遣会社は倒産で潰れたりしていますか?
(引用元ページ:Yahoo!知恵袋-派遣会社は倒産しませんか?)
今回はその気になるポイントを徹底解説します!
派遣会社が倒産すると派遣社員はどうなるの?
派遣社員が雇用契約を結んでいる相手は派遣先企業ではなく、派遣会社です。
そのため派遣会社が倒産するとその雇用契約が消滅します。
派遣先企業でのお仕事もその時点で終了となります。
未払いの給料の請求自体は可能ですが、倒産した派遣会社の支払い能力を考慮すると、支払いが遅延したりカットされる可能性もあります。
派遣先企業が倒産したらどうなるの?
派遣先企業が倒産した場合、先ほど触れたように派遣社員は派遣会社との雇用契約を結んでいることから、すでに働いた分の給料はしっかり支払われるため安心してください。
倒産して働き先がなくなりますので、派遣会社の担当スタッフと相談して、新しい派遣先企業を紹介してもらう運びになります。
もし新たな派遣先企業が見つからなかった場合、残った契約期間は平均賃金の60%を休業手当として受け取れます。
倒産した派遣会社グッドウィルって何?
現在倒産している派遣会社の株式会社グッドウィルを事例に紹介します。
グッドウィルが倒産した理由は、ズバリ派遣労働法違反などの行為が発覚し、業務停止処分を食らったからです。
まず労働者派遣法で禁止されている「港湾での荷役業務への派遣」「二重派遣」により2~4か月の事業停止命令を発動されたことに始まります。
二重派遣とは?
派遣会社から派遣を受けた派遣先企業が、該当する派遣スタッフをさらに事業として派遣することを指します。
ちなみに派遣会社に雇用された社員をさらに次の派遣先企業に2回、3回と多く重ねて派遣する行為を「多重派遣」といいます。
二重派遣は職業安定法第44条の規定違反となり、違反すると「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」(職業安定法第64条第9号)の罰則が適用されます。
そしてこの罰則は労働者の供給事業をおこなった側および受け入れた両方に適用されます。
派遣されたスタッフに罰則は適用されないため、安心してください。
ちなみにこの事業停止期間中は新たな派遣ができないため、派遣会社にとってはかなり致命的といえますね。
そして2007年8月25日の『週刊東洋経済』でグッドウィルの違法派遣疑惑が発覚し、以下の内容を報じました。
グッドウィルから三井倉庫(東京都港区)に派遣された男性(27)が07年2月、作業中に荷崩れに巻き込まれ足を骨折する重傷を負った。この事故は、日雇い派遣業界の暗部を明るみに出した。
その1つは、「データ装備費」名目で200円を天引きしていた問題。グットウィルは、データ装備費を「業務上の事故に備えた安全共済の掛け金」と説明していたが、男性には安全共済の保険金は支払われなかった。
もう1つは、複雑な雇用関係。男性は、人材派遣会社の東和リースに派遣されたことになっていたが、実際に働いたのは三井倉庫の現場で、しかも仕事の指示は港湾業者の笹田組(横浜市)だった。(引用元ページ:NETIBNEWS-グッドウィルに事業停止命令 大借金抱える折口会長は絶体絶命(1) | 東京レポート)
派遣社員の禁止業務は港湾系以外にもあります。
医療・建設・警備・士業務の5種の業務も該当し、派遣法第59条第1号によって禁止されています。
ちなみに港湾系業務が派遣社員で禁止されている理由は、「港湾系の仕事は日々の仕事量を確認できないため雇用を安定させられず、派遣社員側が不利な立場になる」からです。
特に下記の場合は港湾系で禁止されている事例となります。
港湾運送の禁止業務に該当する事例
・船舶に積んだ貨物、または船舶から降ろした貨物の荷造り・荷解きをする。
・船舶に積んだ貨物を梱包したり袋詰めしたり、または包装の修理等をする。
・船舶に積まれた貨物を、船舶上で移動したり、固定(縛りつけたりその指示をしたり)したりする。
・船舶や湾岸で、貨物の積み降ろし場所の清掃をする(船員の居住区域、機関区域、燃料タンク、飲料水タンク等の清掃は含まない)。
・船舶により運送された貨物を降ろした(積み込む)場所と港湾地域内の倉庫(以下港湾倉庫)との間で貨物の運送をする。
・港湾倉庫内での貨物の荷解きや、その荷物の仕訳をする。注:運送された貨物だけではなく、港湾倉庫内にすでにある貨物全てが対象(倉庫内に付属冷蔵室がある場合には、そこへの荷物の出し入れのみ含まない)
・トラックなどの運送車両や鉄道に、湾岸倉庫やその他の地域から貨物を積んだり、逆に降ろしたりする。(トラックなどの運送車両や鉄道の運転は含まない)
・湾岸より船舶に貨物を積み込むか、逆に船舶より湾岸に貨物を降ろす(貨物の箇数の計算又は受渡の証明や、船積貨物の積付に関する証明、調査及び鑑定、貨物の容積又は重量の計算又は証明等は、含まない)。
(引用元ページ:一般社団法人 日本人材派遣協会-港湾運送業務)

グッドウィルに限った話ではないのですが、最低限法律くらいは守らないといけませんよね…。

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倒産の増加について帝国データバンクの情報をもとに解説!
派遣会社の倒産問題に関して触れると、「2018年問題」もかなり大きな話題になりました。
派遣会社の倒産傾向は、なんと最近の2017年後半以降から増加傾向にあります。
帝国データバンクの「労働者派遣業者の倒産動向調査」(負債1000万円以上、個人事業者を含む、法的整理を集計)によると、以下のように述べています。
調査結果
- 2018年(1~8月)の「労働者派遣業」の倒産件数は、前年同期比2.2%増の46件で、前年を上回るペースで推移している。負債総額は、前年同期比49.6%減の21億5600万円と大幅に減少した
- 2018年(1~8月)の「労働者派遣業」の倒産を負債規模別にみると、「5000万円未満」の倒産が69.6%を占めた。小規模倒産の構成比が年々高くなっており、高止まりしている
(引用元ページ:帝国データバンク-労働者派遣事業者の倒産動向調査(2018年1~8月))
上述の通り、負債規模が5,000万円未満の小規模な倒産が7割近くを占めており、高止まりしているのが現状です。
2008年以降に発生した758件の労働者派遣事業者の倒産を年別・負債規模別にみていくと、2018年(1月~8月)は「5000万円未満」が全体で69.6%(32件)を占めて最多となりました。
年 | 5,000万円未満 | 5,000万円~1億円未満 | 1億~5億円未満 | 5億~10億円未満 | 10億~50億円未満 | 50億~100億円未満 | 計 | |
構成比 | ||||||||
2008 | 28 | 57.1% | 8 | 12 | 1 | 0 | 0 | 49 |
2009 | 40 | 49.4% | 20 | 16 | 5 | 0 | 0 | 81 |
2010 | 43 | 57.3% | 13 | 18 | 1 | 0 | 0 | 75 |
2011 | 50 | 64.1% | 11 | 14 | 1 | 2 | 0 | 78 |
2012 | 39 | 54.9% | 20 | 12 | 0 | 0 | 0 | 71 |
2013 | 49 | 58.3% | 19 | 11 | 3 | 2 | 0 | 84 |
2014 | 37 | 43.5% | 22 | 23 | 2 | 0 | 1 | 85 |
2015 | 29 | 50.0% | 11 | 16 | 0 | 2 | 0 | 58 |
2016 | 38 | 66.7% | 6 | 13 | 0 | 0 | 0 | 57 |
2017 | 52 | 70.3% | 8 | 12 | 0 | 2 | 0 | 74 |
2018(1~8月) | 32 | 69.6% | 7 | 7 | 0 | 0 | 0 | 46 |
計 | 437 | 57.7% | 145 | 154 | 13 | 8 | 1 | 758 |
(参考ページ:帝国データバンク-2018年は2年連続増加ペースで推移~人手不足で中小事業者が苦戦~)
売り手市場が加速しているとはいえ、派遣社員の確保で零細企業と中堅~大手業者との間で格差がさらに拡大している可能性が示唆されています。
労働派遣法の改正で倒産が増える?
労働派遣法の改正が、実は労働派遣事業者の経営状況に追い打ちをかけているんです。例えば2015年の派遣法改正の例があります。
今までの派遣事業は一般派遣(一般労働者派遣事業)と特定派遣(特定労働者派遣事業)の2つに分かれていました。
ですがそのうち特定派遣は2015年の派遣法改正によって一般派遣に一本化されてしまったのです。
特定派遣の事業者は2018年9月29日までに一般派遣に切り替える必要があったのですが、一般派遣が認可されるまで2~3か月もかかります。
そのため10月1日以降も派遣事業を続けようとすると、遅くても8月には届け出を出さなければ営業できなくなる可能性が高くなります。
結果として派遣事業を取りやめたり、請負業に転換するケースが出てくるわけです。

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2020年4月にも派遣法改正があります。
2020年の派遣法改正のメイン項目は以下の3つなため、派遣会社の倒産が多発することはなさそう…、と一見思いますよね。
- 待遇差改善と情報開示義務
- 「同一労働同一賃金」の導入
- 派遣会社が派遣社員の賃金を決める2つの方法
実は「2020年の派遣法改正で派遣会社が倒産する可能性」が示唆されています。
規制強化によって悪質な派遣会社を取り締まり、場合によっては企業名の公表によって社会的信用が失墜する、といわれています。
2020年の派遣法改正の詳細については、以下の記事も併せてご覧ください。

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中小規模の派遣会社はあまり推奨しません
派遣会社には大手と中小があり、現在の時点で中小規模の派遣会社に登録している人もいることでしょう。
ここで一つ気を付けたいことがあります。
「大手派遣会社以外は人材集めに苦労している」という現状です。
すべての大手派遣会社で苦労してはいない、とまではいえませんが、中小の派遣会社だともっと苦労しています。
売上高を上げるには派遣登録者がいないと始まりませんし、とにかく人材を獲得しなければいけないんです。
特に中小の派遣会社だと利益優先になりがちで、以下の対応をとりかねません。
- やたら高いマージン率を設定する
- 登録スタッフを無理やり働かせようとする
- 派遣会社の社員を削減して派遣社員の負担を増加させる

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実際問題、以上3点は中小規模の派遣会社で起きています。
登録したところで損するのは登録したご自身ですので、利用は絶対避けるべきです。
なかにはブラックな派遣会社もありますので、注意しましょう。

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【2020年最新版】おすすめ大手派遣会社3選!有価証券報告書にもとづいて紹介
最後に、派遣会社カタログでおすすめの派遣会社を3社ピックアップします!
どれも派遣社員から信頼されている大手優良派遣会社ですので、中小企業に比べれば倒産の可能性は格段に低いです。
ここでは以下の3社を紹介します。
以下で紹介する派遣会社のランキング・売上高・シェアは、各派遣会社の有価証券報告書にもとづいたものです。
①リクルートスタッフィング
人材派遣業界で売上高およびシェアが最も高いのは、なんとリクルートスタッフィングなんです。
リクルートスタッフィングを運営するリクルートHDの売上高はなんと12,902億円(参考ページ:リクルートスタッフィング-有価証券報告書)で、シェアは29.6%を誇ります。
口コミと再就業率(今後もこの会社から働きたい)でNo.1を獲得した実績もあり、派遣社員から信頼のおかれている派遣会社ともいえますね。
運営会社名 | 株式会社リクルートスタッフィング |
---|---|
売上高 | 12,902億円(2019年3月期) |
設立日 | 1987年6月 |
求人数 | 10,385件(2020年1月14日現在) |
募集求人 | オフィスワーク・事務、金融、営業・販売、テレマーケティング、メディカル・バイオ、クリエイティブ、IT・技術など |
優良派遣事業者認定 | あり |
福利厚生 | 有給休暇、社会保険、定期健康診断、出産育児一時金、フィットネスクラブ割引、ベビーシッター割引サービスなど |
求人対象エリア | 全国47都道府県 |
リクルートスタッフィングのサービス特徴・口コミ評判はこちら▶︎▶︎▶︎
②テンプスタッフ
テンプスタッフは働くママさんに優しいサービスが豊富な人気派遣会社です。
テンプスタッフを運営するパーソルHDの売上高は人材派遣業界で2位の9,258億円(参考ページ:パーソルホールディングス-有価証券報告書)で、シェアは21.3%を誇ります。
テンプスタッフの業種カバー率は100%(テンプスタッフのみ!)ですので、こちらも希望する求人に出会える確率がかなり高いですね。
運営会社名 | パーソルテンプスタッフ株式会社 |
---|---|
売上高 | 9,258億円(2019年3月期) |
設立日 | 1973年(昭和48年)5月 |
求人数 | 41,833件(2020年1月14日現在) |
募集求人 | オフィスワーク、翻訳・通訳、金融・証券、テレマーケティング、営業、販売・接客、IT・デザイン、音楽・映像制作、研究開発・メディカル・医事、作業・物流・整備、保育・介護、栄養士・調理師など |
優良派遣事業者認定 | あり |
福利厚生 | 有給休暇、社会保険、定期健康診断、メンタルヘルスライン、キャリアカウンセリング、提携スクール・優待施設、カルチャー講座、災害時対策、メチャカリなど |
求人対象エリア | 全国47都道府県 |
テンプスタッフのサービス特徴・口コミ評判はこちら▶︎▶︎▶︎
③パソナ
パソナは派遣スタッフ満足度調査で口コミNo.1を誇る、大手派遣会社です。
パソナを運営するパソナグループの売上高は3,269億円(参考ページ:パソナグループ-有価証券報告書)となっており、シェアは7.5%です。
東京2020年のオリンピックでの仕事で欠かせない、職員(競技会場や選手村運営、トランスポート、バックオフィスなど)のお仕事を多数掲載しており、今注目が集まっています。
運営会社名 | 株式会社パソナ |
---|---|
公式HP | 公式ページ |
売上高 | 3,269億円(2019年5月期) |
設立日 | 1988年4月14日 |
公開求人件数 | 11,252件(2020年1月14日現在) |
募集職種 | 事務、国際事務、経理、人事、受付、金融事務、秘書、営業、販売、通訳・翻訳、テレフォンオペレーター、WEB、IT・エンジニア、ヘルスケア・産業保健、医療・保育・介護、医薬・臨床開発、法務・特許事務、CAD・設計、製造・作業、研究開発 |
登録拠点 | 札幌、函館、青森、盛岡、仙台、福島、郡山、宇都宮、高崎、太田、水戸、つくば、日立、鹿島、さいたま、川越、千葉、幕張、木更津、柏、大手町、銀座、新宿、渋谷、池袋、品川、立川、調布、横浜、川崎、武蔵小杉、湘南、海老名、静岡、沼津、浜松、名古屋、豊田、刈谷、岡崎、岐阜、四日市、甲府、新潟、松本、長野、富山、金沢、福井、滋賀、京都、奈良、和歌山、淀屋橋、梅田、難波、神戸、姫路、尼崎、松江、出雲、岡山、倉敷、津山、広島、福山、尾道、山口、高松、徳島、松山、高知、福岡、北九州、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、那覇 |
雇用形態 | 派遣社員、紹介予定派遣、契約社員(受託業務) |
対象地域 | 全国47都道府県 |
まとめ~派遣会社に登録するなら大手で!~
今回は派遣会社の倒産に焦点を当ててきました。
派遣会社は多すぎるくらい存在していますので、適切な選択が難しくなっています。
マージン率がやたら高い派遣会社、派遣スタッフを無理やり案件にねじ込ませようとする派遣会社など余裕のない派遣会社には傾向があります。
そして淘汰されて、倒産して消えていきます。
貴重な時間をそんな低クオリティな派遣会社に奪われないよう、まずは以下の派遣会社に登録していてください。
3社とも「優良派遣事業者認定」を取得した派遣会社ですので、どの派遣会社に登録しようか迷っている方は、とりあえず登録してみてはいかがでしょうか。

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