「せっかく再就職したけど、前より給与が下がってしまった…」
そんなときには就業促進定着手当をもらえるかもしれません。
就業促進定着手当とは、再就職手当を受けた人が再就職先に6か月以上雇用されて、離職前より賃金が下がった場合にもらえる手当です。
知らないと損をしてしまいますので、再就職手当を受けており賃金が下がった方はこの記事を読んで申請してください。
就業促進定着手当の受給条件3つ
就業促進定着手当は、再就職して給与が下がった人全員がもらえるわけではありません。
以下の3つの条件に当てはまる人が受給の対象です。
- 再就職手当の支給を受けている
- 再就職後、同じ職場に6か月以上雇用されている
- 再就職後6か月間の賃金の1日分の額が、離職前の賃金日額を下回っている
①再就職手当の支給を受けている
就業促進定着手当は再就職手当を受給していることが大前提です。
離職期間が長く、再就職手当をもらっていない場合には給付されないので注意してください。
就業促進定着手当の支給申請書は、再就職手当の支給決定通知書と一緒に送られてきます。
再就職手当については後ほど説明いたします!
②再就職後、同じ職場に6か月以上雇用されている
再就職の日から同じ職場に6か月以上勤務し、かつ雇用保険に加入している人が対象です。
半年経つ前に転勤などで職場が変わってしまうと、事業主都合での転職だとしても給付されませんので注意してください。
③再就職後6か月間の賃金日額が、離職前の賃金日額を下回っている
再就職後の半年間で支払われた賃金の総額ではなく、日額が低い場合に支給できます。
月額では賃金が減っていても、日額にすると離職後のほうが高い場合もあります。
例えば前職が正社員で現職がアルバイトの場合は、勤務日数が減少することがあるのでどうしても総額が減ってしまいますよね。
しかし日額で計算すると前職に比べて増えている場合もあります。
再就職先が日給や時給計算の場合には、日額に計算し直してみましょう!
再就職手当は失業保険を1/3以上残して就職した場合に支給される
再就職手当は、失業保険を満額受け取らずに就職した人がもらえる手当です。
再就職手当も就業促進定着手当と同様に、受け取るには以下8つの条件があります。
- 失業保険を1/3以上残して就職
- 7日間の待期期間を満了した後の就職である
- 退職した会社への再雇用ではない
- 再就職先で被保険者として1年以上勤務する見込みがある
- 給付制限を受けた場合はハローワーク、または職業紹介事業者の紹介により職業についた
- 就職日前3年以内の就職について再就職手当、常用就職支度手当の支給を受けていない
- 受給資格決定日前に採用が内定していた事業主への雇用ではない
- 支給申請書を提出後に再就職先の事業所を離職していない
就業促進定着手当はハローワークに申請する
就業促進定着手当をもらえる3つの条件をすべて満たしていた場合には、ハローワークにて支給申請の手続きをおこないます。
ハローワークへ提出する書類は4種類ある
下記4点を、再就職手当の支給を受けたハローワークへ提出します。
- 就業促進定着手当支給申請書
- 雇用保険受給資格者証
- 出勤簿やタイムカードの写し
- 給与明細や賃金台帳の写し
窓口へ直接持参でも郵送でも可能ですが、必ず再就職手当の支給を受けたハローワークに提出してください。
ハローワークならどこでもいいというわけではないので、気を付けましょう。
①就業促進定着手当支給申請書
申請書は、再就職手当の支給決定通知書と一緒に送られてきます。
申請に必要なので捨てずに保管しておきましょう。
紛失した場合にはハローワークの窓口でもらうか、インターネットでダウンロードも可能です。
自分で記入するだけではなく、再就職先の会社に記入してもらう箇所もありますので早めに準備しておきましょう。
②雇用保険受給資格者証
離職後にハローワークで手続きをおこない、受給資格確認後に渡される書類です。
紛失してしまった場合には、ハローワークに本人確認書類と印鑑を持参すると再発行できます。
③出勤簿やタイムカードの写し
こちらは自分では準備ができないので、再就職先に依頼して発行してもらいます。
支給申請書の記入を依頼する際に一緒に依頼しましょう。
④給与明細や賃金台帳の写し
出勤簿やタイムカードの写しと同様に、支給申請書の記入を依頼する際に一緒に依頼してください。
支給申請書に記載した期間の賃金を証明する資料です。
再就職後、最初の賃金締め切り日後から半年間の賃金が記載されているか、確認してください。
また、写しには原本証明が必要です。
再就職先の会社に依頼して、余白に原本と相違ない旨を証明する文章を記入してもらいましょう。
申請期間
申請期間は、再就職後半年~8か月の、2か月間です。
しかし準備する資料が多いため、半年経ってからの準備では間に合いません。
再就職先の会社にも迷惑が掛かりますので、受給条件を満たしそうな場合には早めに準備を進めておきましょう。
期間は2か月といっても、実は期限を過ぎても受給はできます。
再就職した日から2年6か月、申請期間が過ぎても10か月以内であれば申請は可能です。
しかし、それ以上経過してしまうと受給はできませんので注意してください。
就業促進定着手当支給額の計算方法は?
就業促進定着手当を申請すると、どれくらい受給できるのか気になりますよね。
支給額は、以下の式で計算できます。
「賃金日額の差額×支払い基礎日数」
ただし上限があり、差額が大きいほど手当を多くもらえるわけではないので気を付けてください。
この計算式だけ見ても計算ができないと思いますので、更に詳しく説明していきます。
前職と現職の差額を計算する
賃金の支払いが月給か日給か時給かによって計算方法が異なります。
<月給の場合>
① 「(離職時賃金日額-再就職後6か月の賃金日額)×再就職後6か月の賃金支払い基礎日数」
離職時賃金日額は離職をする直前半年に支払われた賃金の合計を180でわったものです。
<日給や時給の場合>
② 「(再就職後6か月間の賃金の合計額)÷(賃金支払いの基礎となった日数)×70%」
① と②を計算して高いほうが再就職後6か月の賃金日額となります。
上限額と下限額があり、上回った場合は上限額、下回った場合は下限額が賃金日額になります。
詳細は以下の表のとおりです。
年齢 | 30歳未満 | 45歳未満 | 60歳未満 | 69歳未満 |
---|---|---|---|---|
上限 | 13,500円 | 14,990円 | 16,500円 | 15,740円 |
下限 | 共通で2,480円 |
また、計算に用いる賃金は控除前の総支給額ですが、手当によっては賃金に含まれないものもあります。
交通費、皆勤手当、家族手当は賃金に含まれますが、3か月を超える期間ごとに支払われる賞与は含まれません。
再就職後6か月の賃金支払い基礎日数は、賃金形態によって異なります。
月給制の場合はカレンダーの暦日数通りですが、日給や時給の場合は実際に出勤した日数が賃金支払い基礎日数です。
就業促進定着手当の上限額を計算する
続いて、就業促進定着手当の上限額を計算します。
「基本手当日額×支給残日数×30%or40%」
基本手当日額は、雇用保険受給資格者証の1面19欄に記載されている金額で、支給残日数は失業保険がもらえる残りの日数です。
パーセントは100%-再就職手当の支給率となります。
前職と現職の賃金の差額と、就業促進定着手当の上限額を比較して高いほうの金額が支給されますので、どちらも計算してみましょう。
手当を上手に活用して転職を成功させよう!
転職は労働環境が大きく変わるため、不安がつきまといます。
不安の中に金銭面への不安も含まれますよね。
公的手当を上手に活用すれば、大きなサポートを受けることができます。
手当を受けることができれば、転職への不安も少なくなります。
早めの手続きが大切ですので、該当する場合には申請しましょう!