変形労働時間制を使いたいんだけど…。
私派遣社員だから、やっぱり無理なのかしら…。
いいえ、そんなことはありません!
基本的に、派遣社員でも変形労働時間制を適用することは可能ですよ!
最近コロナウイルスの流行により、感染予防のため変形労働時間制を利用する会社が増えてきています。
そこで今回は、「変形労働時間制とは何なのか」「派遣は変形労働時間制で働けるのか」などについてご紹介していきます!
変形労働時間制は派遣社員でも適応できる!
先ほども少し紹介していたように、変形労働時間制は派遣社員でも適用が可能です。
「どんな雇用形態の人でも適用することができる」という表現の方がより適切ですね。
ですがその雇用形態の特性から、派遣社員の変形労働時間制の適用は「現実的に考えにくい」といえます…。
なぜなのかをご紹介するために、まずは変形労働時間制について詳しく解説していきましょう。
変形労働時間制には主に3種類ある!
通常の労働時間と異なる場合の「労働時間制度」には、主に以下の3種類があります。
- 変形労働時間制度
- フレックスタイム制度
- みなし時間制度
順番にご紹介していきますね!
①変形労働時間制度
変形労働時間制とは、労働時間を通常通りではない単位で計算する方法を指します。
ここで言う単位とは「日」や「週」、「月」、「年」などを表します。
通常だと「日」や「週」などの単位で計算するのが一般的ですね。
変形労働時間制は、それとは別の単位(「週」や「月」、「年」)で労働時間を計算することを言います。
通常は、1日8時間、週40時間以内が労働時間と法律で決められており、それを超えると「残業扱い」になります。
ですが業種によって閑散期・繁忙期があり仕事量にばらつきがあったり、今回のようなコロナウイルス流行で仕事時間が制限されていまったりすることもあると思います。
そこで例えばもともとの単位が「週」なのを「月」にしてしまえば、週各40時間のところを前半2週間は35時間、後半2週間は45時間といったように労働時間の変更ができるようになるんです。
【単位を「週」から「月」にした場合の例】
- 「週」の単位(これを「月」で換算して合計160時間)
日 | 1日 | 2日 | 3日 | 4日 | 5日 | 6日 | 7日 | 週合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
時間 | 8時間 | 8時間 | 8時間 | 8時間 | 8時間 | × | × | 40時間 |
- 「月」の単位
週 | 1週目 | 2週目 | 3週目 | 4週目 | 月合計 |
---|---|---|---|---|---|
時間 | 35時間 | 35時間 | 45時間 | 45時間 | 160時間 |
②フレックスタイム制度
フレックスタイム制度とは、月単位での労働時間が決め、その中で出社・退社の時間や、いつ何時間働くのかを本人の裁量で決められるといった制度です。
月の労働時間が守られていれば、一般的な労働時間「1日8時間を週5日」が守られなくてもよいということです。
定められた労働時間を超えると、「残業扱い」となります。
会社によって「何時から何時は働かなければならない」(コアタイム)や「何時から何時までには出社しなけらばならない」(フレキシブルタイム)など、決まりがあったりします。
③みなし時間制度
みなし制度とは、何時から何時までの労働なのかはっきりと判断できないような業務に対して、労働時間を設定し「何時間、労働しました」とみなす制度のことを言います。
衣服などのデザイナー、コピーライターなど、何か作るような仕事をしている場合は、制作にものすごく時間がかかったり、逆にすぐ作れたりします。
このような実働時間が曖昧な場合に、あらかじめ例えば「月160時間働く」とみなしておくといったことがされます。
定められた期間中ならどんだけ時間をかけてもかけなくても、給料は同じになります。
またみなし時間制度には「専門業務型裁量労働制」「企画業務型裁量労働制」「事業場外みなし労働時間制」の3種類があります。
加えて上記のうち「専門業務型裁量労働制」は下記19業種に限定したもので、事業場の過半数労働組合または過半数代表者との労使協定締結によって導入できます。
「専門業務型裁量労働制」の19業種
- 新商品・新技術の研究開発や人文科学・自然科学の研究業務
- 情報処理システムの分析
- 新聞・出版・放送事業の記事取材編集などの業務
- 衣服・広告などのデザイン業務
- プロデューサーやディレクター
- コピーライター
- システムコンサルタント
- インテリアコーディネーター
- ゲーム用ソフトウェア創作業務
- 証券アナリスト
- 金融商品開発業務
- 教授研究の業務
- 公認会計士
- 弁護士
- 建築士
- 不動産鑑定士
- 弁理士
- 税理士
- 中小企業診断士
企画業務型裁量労働は、「事業の運営に関する企画、立案、調査及び分析の業務」に限られるため、職種は限られます。
そして「事業場外みなし労働時間制」については、外回りの営業などがわかりやすいかもしれませんね。
10時から19時まで外回りしていた場合、例えば「8時間の労働、1時間の休憩」があったとみなします。
その時間内の労働が何時間であっても給料は変わりません。
労働者を事業場外みなし労働時間制の対象とするためには、単にその労働者が会社の外で働いているだけでは認められません。会社がその労働者の労働時間の算定をすることが困難であることも必要です。
派遣の変形労働時間制で気を付けること
最初にご紹介したように、派遣社員でも変形労働時間制は適用することはできますが、その雇用の特性から「現実的に適用は難しい」です。
それはいったいなぜなのか、ご紹介していきたいと思います。
そもそも派遣は、正社員やパート・アルバイトなどと違い、労働者と会社との間で派遣会社を経由している状態です。
仕事の指示などの指示は派遣先でされますが、それ以外の給料や雇用関係のことは全て派遣会社の方が担います。
変形労働時間制度などを利用するには、労使協定の締結や監督署への提出が必要になりますが、派遣社員の場合それらを提出するのは派遣先ではなく派遣会社の方なんです。
そのため派遣先で変形労働時間制が適用されていても、派遣会社で適用されていなければ、その派遣社員は通常の労働時間で働いているという計算方法になります。
派遣先の変形労働時間制の利用によって普段「週5」のところを「週6」で働いると、派遣会社の方では1日分の残業代が支払われることになってしまうのです。
派遣社員が変形労働時間制を利用するなら派遣会社と派遣先どちらでも同じ労働時間で制度を使わなければならないということです。
また派遣会社の仕事は、誰かの指示を受けての業務がほとんどです。
そのため派遣先からも決められた時間で出社していてほしいとの要望が多いのだそう。
なので派遣社員の変形労働時間制は実際にはあまり多い例とは言えないのです。
これらのことを考えると、派遣社員の変形労働時間制は「あまり現実的ではない」と言わざるを得ませんね…。
ですが大手の派遣会社であれば、そのほとんどで変形労働時間制の締結がされているので、担当者に変形労働時間制について相談してみるといいかもしれません。
まとめ~派遣社員の変形労働時間制を考える
今回この記事では、「変形労働時間制とは何なのか」、「派遣は変形労働時間制で働けるのか」などについてご紹介してきました。
これまでの内容を簡単にまとめておきますね。
変形労働時間制は派遣社員でも適応できる
- どんな雇用形態の人でも適用することができる
変形労働時間制とは
- 変形労働時間制には3種類ある
①変形労働時間制度
②フレックスタイム制度
③みなし時間制度
派遣の変形労働時間制で気を付けること
- 派遣社員でも変形労働時間制で働くことはできるが、現実的には難しい
- 派遣会社と派遣先の労働制度が同じでなくちゃならない
- 派遣先でのニーズにより、派遣社員の変形労働時間制は例として少ない
- ほとんどの大手の派遣会社では変形労働時間制の締結がされてるので担当者に相談してみるのもアリ
派遣社員の変形労働時間制の適用は難しいかもしれないというお話をしましたが、派遣社員でも適用を望むことはできます。
変形労働時間制を利用したいという人は、派遣会社の担当者にぜひ相談してみてください!
不安なことやわからないことがあれば、派遣会社に相談することをおすすめします。もちろん会社によってできることとできないことはありますので、すべてが思い通りになるわけではないですが、もやもやして働くより、やっぱり気持ちよく働きたいですよね。