「看護師って、派遣で医療行為できないの?」
看護師として働いており、派遣での雇用形態を考えているあなた。
ネットで調べると、「派遣だと、看護師の仕事ができない」といった文言を目にしたことはありませんか?
派遣は自分の都合に合わせて働けることから、メリットが大きいですよね。
正規雇用と比べ、責任感が少なく、人間関係に悩まされにくいのも魅力の一つ。
派遣として、看護師はどこでも働けないのでしょうか?
本記事では、看護師が派遣として働けるか?をテーマに解説。
今後、派遣として働くことを考えている方は、参考にしてください!
看護師派遣が「違法」だと誤解される理由
「看護師は派遣で働けない?」
結論から言うと、派遣でも働けます。
なぜ、看護師が派遣で働くのが禁じられている話が出回っているのでしょうか。
背景には、過去の法律や認識が現代にも語り継がれていることがあります。
2006年以前は禁じられていたから
看護師の派遣は、かつては全面的に禁じられていたため、今も「派遣の看護師はNG」と誤解されています。
国内における派遣業は、1986年に労働者派遣法が施行されたときにはじまりました。
開始当初、派遣が認められていた職種は限定的。
徐々に職種の壁がなくなり、看護師も2006年から解禁となりました。
就業できる場所に制限はありますが、後ほど詳述します。
2006年以前に看護師は派遣として働けない法律があったため、今も誤った認識が世の中にありますね。
ネガティブリストがあったから
「ネガティブリスト」も、「看護師は派遣就業をできない」と誤った誤解につながった要因です。
上記で、「1986年に派遣法が施行され、徐々に派遣を認める職種が緩和されていった」とお伝えしましたね。
1999年、「次の職種以外は派遣を許可する」と定めた、いわゆる「ネガティブリスト」が作成されました。
「弁護士・建設業務・警備業務」のほか、「病院・診療所での医療業務」以外の職種において派遣就業を認めるというものでした。
看護師が通常働くのは、病院・診療所。
1999年当時、看護師が派遣として認められていないのは事実だったことになります。
派遣法の内容は時代とともに変化を遂げ、現在看護師は派遣として働けます。
1990年代~2000年代初頭に働いていた方の間で、誤解が広がっていたのですね!
看護師が派遣で就業できる・できない場所
現在、看護師は派遣就業ができます。
上記で、「一定条件のもとで働ける」とお伝えしました。
具体的には、勤務場所において就労可否が判断されています。
派遣として就業できる場所・できない場所をそれぞれ見ていきましょう!
医療機関は行けない
まずは看護師が派遣として就業できない場所についてお伝えします。
看護師が派遣として働けない職場は、医療機関です。
医療機関は、具体的には下記の場所が挙げられます。
- 病院
- クリニック
- 助産院
- 介護老人保健施設
- 患者自宅
いずれも、看護師が一般的に働く職場。
病院については、例外的に派遣就業が認められる場合があるので、後ほど詳述します。
「なら、看護師はどこなら派遣が認められているの?」と思いますよね。
医療機関以外なら行ける
看護師が勤務できる派遣先は、上記の医療機関以外があります。
具体的には、下記が挙げられます。
有料老人ホーム
デイサービス
特別養護老人ホーム
社会福祉施設
保育園
高齢者を対象としたサービス施設が多いですね。
保育園もあることから、看護師が派遣就業できるのは民間施設だと考えておきましょう!
看護師が派遣できる・できない場所については詳しくは労働派遣法第二条四節に記載されています。
病院派遣ができる例外
例外として、病院への派遣が認められる場合があります。
産休・育休代替
医療機関で正規雇用として働く看護師が、産休・育休を取得し休暇中である場合です。
休暇に入った看護師の代わりに、人材の穴埋めとして派遣が可能。
雇用期間は、休暇取得した看護師が休暇を終えるまでです。
紹介予定派遣
3か月から半年など、一定期間派遣として働いたのち、正職員・パートなど直接雇用に切り替わることを前提とした派遣形態。
派遣の場合、雇用主は派遣会社なので、病院と雇用契約を結んでいません。
直接雇用することで、病院と雇用契約を結べます。
派遣の求人を探す際、産休代替か紹介予定派遣のいずれかがないか確認しておきましょう!
看護師派遣で気を付けたい違法行為
上記で、看護師が派遣就業できる・できない場所を紹介しました。
看護師の代表的な職場の病院は原則不可ですが、産休などに入った看護師の代わりや紹介予定派遣なら派遣就業が可能になります。
デイサービスなど、派遣就業が認められている職場で働く際、気を付けたいことがあります。
具体的には下記4点です。
- 3年以上同一職場で派遣として働き続ける
- 無許可の派遣会社で派遣就業していた
- 派遣先が面接・書類選考の実施していた
- 派遣会社が次の雇用を確保していない
一つずつ見ていきましょう!
3年以上同一職場で派遣として働き続ける
3年以上、同じ職場で派遣として働き続けているのは違法です。
看護師に限らず、派遣形態の労働者が同一職場で働ける限度は最大3年。
3年以上働いていても、看護師に責任は課されず、派遣先の責任となります。
派遣先が派遣看護師を直接雇用し、責任を負う形です。
上記で指す「同じ職場」は、「シフト管理・仕事配分をする担当者が同じ」かどうか。
派遣先の勤務地が同じでも、部署・担当者が違えば同じ職場として扱われません。
3年以上働いている場合、部署・担当者が変わっていないか確認しておきましょう!
無許可の派遣会社で派遣就業していた
無許可の派遣会社で派遣就業をしているのも、違法です。
派遣業務は、厚生労働省が認可を出した事業者のみが営める事業。
仮に不認可の事業者だと、違法派遣になります。
同一職場で3年以上働いていた場合と同様、労働者に責任はありません。
派遣会社にペナルティが生じ、派遣先も労働者を直接雇用する責任を取らされます。
登録した派遣会社が、厚生労働省から許可が出ている会社か確認しておきましょう!
派遣先が面接・書類選考の実施していた
派遣先が労働者の面接・書類選考を実施していた場合も違反です。
派遣看護師は、派遣会社のスタッフの一員として派遣先に就業する雇用形態。
正規雇用ではないため、面接・書類選考の実施をすることは不可能です。
選考対象となっているかどうかは、労働者は関係ありません。
派遣先と派遣会社の両者に懲役か罰金刑が課されます。
提出した書類が、選考の材料として扱われていないか確認しておくと無難ですね!
派遣会社が次の雇用を確保していない
派遣会社が次の雇用を確保していなかったのも、違法となりますが、条件があります。
派遣労働者の雇用が1年以上続くと見込まれた段階で努力義務が発生。
3年見込まれれば義務です。
いずれかの段階となった場合、派遣会社は労働者に対し、「次の職場を紹介する」か「派遣会社に無期派遣社員として受け入れる」のいずれかを取る必要があります。
いずれかの条件を満たせなかった場合、派遣会社は労働者を無期雇用派遣として雇わなくてはいけません。
無期雇用派遣は、「期間が定まっていない派遣」を指し、派遣先がなくとも給与が支給される派遣形態のこと。
「派遣として3年以上働いたのに、次の職場が見つからなかった」となっていた場合、派遣会社が違法行為をしている可能性が高いです。
違法派遣にならないために
上記で、違法な派遣就業となるケースを見ました。
看護師の責任より、派遣会社と派遣先の故意による過失が原因となるケースが大半でした。
責任を負うことがなくとも、違法派遣していたのは嫌ですね。
違法派遣とならないために、看護師はどういった点に気を付ければいいのでしょうか。
具体的に説明します。
「厚生労働省許可番号」がある派遣会社を選ぶ
厚生労働省許可番号が出ている派遣会社を選んで働くのが一つのコツです。
上記で見たように、派遣事業をおこなう場合、各企業は厚生労働省から許可をもらう必要があります。
許可が出ると、厚労省から許可番号が発行されます。
番号は、各企業の会社概要欄に記載されています。
例えば、「株式会社ネクストレベル」なら「派27-302098」といったように、「派」から始まります。
登録した派遣会社の許可番号があるか、確認しましょう!
株式上場している派遣会社を選ぶ
番号があっても、不安だと思う方は、株式上場している派遣会社を選ぶようにしましょう。
上場するにあたり、企業はコンプライアンスの順守を徹底します。
仮に違法しているものがあると、上場できないためです。
上場している派遣会社は、例えば「株式会社クイック」(本社:大阪市北区)があります。
上場している派遣会社だと、未上場より時給など待遇が整っている会社も。
上場している派遣会社ならではのメリットですね!
まとめ~看護師が派遣として働けるのか~
本記事では、「看護師が派遣として働けるのか?」をテーマに解説しました。
かつて、看護師は派遣就業できない時代がありました。
当時の認識が残っている人の間で誤った理解が広がった結果、現在も「看護師は派遣として働けない」と言われています。
紹介予定派遣を除き、病院で派遣就業できないのは変わりませんが、老人ホームなどで働けます。
今後、派遣の看護師として就労を考えている方は参考にしてください!