派遣の禁止業務(適用除外業務)ってなに?禁止理由も詳しく解説

バツの手ぶりをする女性

※本ページにはPRが含まれます。

派遣社員の法律や労務

派遣社員の仕事って色々あるけど、禁止されている仕事もあるの?

はい、禁止されている仕事もあります!

例えば医師や港湾運送系、建設系は禁止されています。

派遣社員の禁止業務とは?

派遣社員の労働を禁止している業務を適用除外業務といいます。

具体的には医療・港湾・建設・警備・士業務の5種の業務を指します。

派遣社員が違反して適用除外業務をした場合、派遣会社及び派遣先企業の責任者・担当者は「1年以下の懲役または100万円以下の罰金(派遣法第59条第1号)」が課せられます。

派遣社員だからって、どんな仕事もできるわけではないのね。

そうです!これら5種の業務に携わる方が派遣社員だと、不都合なことが多いんです。その点も後半で説明しますね。

派遣社員の禁止業務(適用除外業務)と禁止理由を解説

派遣社員の禁止業務(適用除外業務)にはどんなものがあるか、具体的に見ていきましょう!

以下で取り上げる禁止業務は、一般社団法人日本人材派遣協会のページを参考にしたものです。

  1. 港湾運送業務
  2. 警備業務
  3. 弁護士・社会保険労務士等の「士業務」
  4. 建設業務
  5. 病院・診療所等における医療関連業務

一つずつ見ていきましょう!

①港湾運送業務

港湾運送における以下の5業務は派遣が禁止されています。

  • 船内荷役
  • はしけ運送
  • 沿岸荷役
  • いかだ運送
  • 船積貨物の鑑定・検量等の業務(港湾労働法第二条第二号に規定する港湾運送の業務)

いずれも港湾での業務であることが前提で、機械によるものか、人力によるものかは関係ありません。

港湾業務は仕事量が日々変動し、企業以外の労働力が必要不可欠です。

派遣ではその日々の仕事量を確認できないと雇用を安定させられないため、派遣社員が不利な立場になるのを防ぐのが禁止理由です。

港湾運送の禁止業務に該当する事例を見ていきましょう!

港湾運送の禁止業務に該当する事例

・船舶に積んだ貨物、または船舶から降ろした貨物の荷造り・荷解きをする。

・船舶に積んだ貨物を梱包したり袋詰めしたり、または包装の修理等をする。

・船舶に積まれた貨物を、船舶上で移動したり、固定(縛りつけたりその指示をしたり)したりする。

・船舶や湾岸で、貨物の積み降ろし場所の清掃をする(船員の居住区域、機関区域、燃料タンク、飲料水タンク等の清掃は含まない)。

・船舶により運送された貨物を降ろした(積み込む)場所と港湾地域内の倉庫(以下港湾倉庫)との間で貨物の運送をする。

・港湾倉庫内での貨物の荷解きや、その荷物の仕訳をする。注:運送された貨物だけではなく、港湾倉庫内にすでにある貨物全てが対象(倉庫内に付属冷蔵室がある場合には、そこへの荷物の出し入れのみ含まない)

・トラックなどの運送車両や鉄道に、湾岸倉庫やその他の地域から貨物を積んだり、逆に降ろしたりする。(トラックなどの運送車両や鉄道の運転は含まない)

・湾岸より船舶に貨物を積み込むか、逆に船舶より湾岸に貨物を降ろす(貨物の箇数の計算又は受渡の証明や、船積貨物の積付に関する証明、調査及び鑑定、貨物の容積又は重量の計算又は証明等は、含まない)。

6大港(東京、横浜、名古屋、大阪、神戸及び関門)以外にも指定港湾があるのでしっかり確認しましょう!

②警備業務

警備における以下の業務は派遣が禁止されています。

  • 事務所、住宅、興行場、駐車場、遊園地などにおける、または運搬中の現金などに係る盗難などや、雑踏での負傷などの事故の発生を警戒し、防止する業務(警備業法第二条第一項各号に掲げる業務)

警備業務は派遣社員に命に関わることもあり、派遣会社のスタッフの目が届かないところで、労働者の安全確保がされないことが禁止の理由です。

警備の禁止業務に該当する事例を見ていきましょう!

警備の禁止業務に該当する事例

・盗難等の事故発生を防止・警戒するために、不審者や迷惑者に注意を促したり、質問をしたりする。

・盗難等の事故発生を防止・警戒するために建造物内や会場内を巡回・巡視する。

・会場や店舗の入口で手荷物検査をする。

・催し物等によって混雑する場所での雑踏や駐車場等の整理や、人や車両の誘導をする。

・運搬中の貴重品・金品等に帯同して監視をする。

・業務として犯罪者を追跡したり、捕まえたりする。

・防犯通報に対して待機をする。

・ 建造物内で、警備目的で無人の時間帯・状態に常駐する。(当直、夜間窓口等)

・「警備室」「警備関係者受付窓口」等の施設に常駐する。

③弁護士・社会保険労務士等の「士業務」

いわゆる「士業務」における以下の業務は、派遣が禁止されています。

  • 弁護士
  • 外国法事務弁護士
  • 司法書士
  • 土地家屋調査士の業務
  • 建築士事務所の管理建築士の業務等

特に弁護士の場合は弁護士法第3条に基づいて、資格所持者本人が業務を委託するという業務なため、業務関連の指揮を受けません。

公認会計士や税理士など、一部の士業務は禁止されていませんので

注意しましょう!

④建設業務

建設における以下の業務は、派遣が禁止されています。

  • 土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊若しくは解体の作業又はこれらの準備の作業に係る業務

直接的な作業がメインの職人色の強い建設業務も禁止されています。港湾業務と同様に仕事量が不安定な業務で、誤った施工がおこなわれた時に重大な責任問題になりかねないからです。

建設の禁止業務に該当する事例を見ていきましょう!

建設の禁止業務に該当する事例

 

・ビル・家屋等の建築現場にて、資材の運搬・組み立て等を行う。

・ 道路・河川・橋・鉄道・港湾・空港等の開設・修築などの工事現場で掘削・埋め立て・資材の運搬・組み立て等を行う(事例1・2共に施行計画の作成や、工程管理・品質管理などは含まない)。

・建築・土木工事において、コンクリートを合成したり、建材を加工したりする。建築・土木工事現場での準備作業全般を含む。

・建築・土木工事現場内で資材・機材を配送する(現場外からの資材の搬入は含まない)。

・壁や天井・床の塗装や補修をする。

・ 建具類等を壁や天井・床に固定する、あるいは撤去する。

・外壁に電飾版や看板などを設置する、あるいは撤去する。

・建築・土木工事現場内において、配電・配管工事をしたり機器の設置をしたりする。

・建築・土木工事現場の入口の開閉や車両の出入りの管理・誘導をする。

・建築・土木工事後の現場の整理・清掃(内装仕上げ)をする。

・イベントなどを行う大型仮設テントや大型仮設舞台の設置をする(簡易テントの設営、パーティションの設置などは含まない。また、椅子の搬入や舞台装置・大道具・小道具の設置等も含まない)。

・仮設住宅(プレハブ住宅等)の組み立てを行う。

・ 建造物や家屋を解体する。

施工管理業務(施工計画・工程管理・品質管理・安全管理など)をおこなう派遣業務は禁止されていません!

⑤病院・診療所等における医療関連業務

医療における以下の業務は派遣が禁止されています。

  • 医師
  • 歯科医師
  • 薬剤師の調剤
  • 保健婦
  • 助産婦
  • 看護師・准看護師
  • 栄養士等の業務

病院・診療所などに医療従事者を派遣するのも禁止です。

ただし、医療関連業務に関しては例外があるので押さえておきましょう。

以下の4つの場合は禁止業務に該当しません。

医療関連の禁止業務に関しては例外あり

  • 紹介予定派遣
  • 病院・診療所等(介護老人保健施設または医療を受ける者の居宅においておこなわれるものを含む)以外の施設(社会福祉施設等)でおこなわれる業務
  • 産前産後休業・育児休業・介護休業中の労働者の代替業務
  • 就業の場所がへき地・離島の病院など及び地域医療の確保のため都道府県(医療対策協議会)が必要と認めた病院などにおける医師の業務

弁護士と同様、医師も専門職なうえにチームで働くため、派遣には似合わしくないのが禁止理由です。

派遣の禁止業務(適用除外業務)を押さえて安全に働こう

女性派遣社員のガッツポーズ

派遣社員が禁止されている業務は以下の5つです。今一度確認しましょう!

  • 港湾運送業務
  • 警備業務
  • 弁護士・社会保険労務士等の「士業務」
  • 建設業務
  • 病院・診療所等における医療関連業務

ワークライフバランスのとりやすい派遣で安全かつ有意義に働けるよう、今回紹介した禁止業務(適用除外業務)とその禁止理由を押さえ、自分の身を自分で守るようにしてください!

タイトルとURLをコピーしました