
派遣社員って正社員と比べて労働時間が短いほうだから、残業ってほぼ無さそうだけど実際どう?

確かに少ない傾向ではありますが、残業を強いられる派遣社員もいますので、一概には言えないです。
今回は派遣社員の残業の時間的範囲、断れるのかどうか、残業代は出るのかなどに焦点を当てていきます。
派遣社員の最新の残業事情を網羅的に徹底解説しますので、ぜひ最後までお読みください!
まずは派遣社員の残業ルールを押さえよう
派遣社員が派遣先企業で残業をする場合、必要事項が2点あります。
- 派遣会社で36協定(時間外・休日労働に関する協定届)を締結していて、時間外労働が可能な環境である。
- 労働条件通知書に時間外労働があることの記載がある。
36協定(時間外・休日労働に関する協定届)とは?
「労働者が1日8時間(1週間で40時間)の法定労働時間を超えて労働させられる場合、あるいは休日労働させられる場合、事前に労働組合と使用者で書面による協定を締結しなければならない。」という決まりです。
労働基準法第36条が根拠になったことから「36協定」と名前がついています。
この36協定はほとんどの派遣会社で結ばれています。
このほかにも派遣社員が押さえるべき法律がありますので、以下の記事も併せてご覧ください。

派遣社員は残業をどれくらいしている?
派遣社員が残業をどれくらいしているのか、具体的な数字を追ってみていきましょう。
派遣社員の残業頻度
平成29年派遣労働者実態調査の概況(再集計前)によると、派遣社員の残業頻度は以下の結果となりました。
残業頻度(単位:%) | ||||||||
ほとんど毎日ある | 2~3日に 1回程度 | ほぼ1週間に1回程度 | ほぼ2週間に1回程度 | ほぼ1か月に1回程度 | 数か月に 1回程度又はほとんどない | まったくない | 不明 | |
総数 | 21.5 | 17.6 | 9.4 | 6.3 | 6.7 | 16.5 | 20.7 | 1.3 |
男性 | 30.5 | 20.3 | 8.7 | 5.4 | 5.4 | 11.9 | 16.4 | 1.4 |
女性 | 12.8 | 15.0 | 10.0 | 7.2 | 7.9 | 20.9 | 24.9 | 1.2 |
総数で見ると、派遣先での残業頻度は「ほとんど毎日ある」が21.5%と最も高い割合です。派遣社員の5人に1人は毎日残業しています。
次いで「まったくない」の20.7%、「2~3日に1回程度」の17.6%の順です。
性別で見ると、男性では「ほとんど毎日ある」の30.5%が、女性では「まったくない」が最も高い割合です。

続いて、派遣の種類別に派遣社員の残業頻度を見ていきましょう!
残業頻度(単位:%) | ||||||||
ほとんど毎日ある | 2~3日に 1回程度 | ほぼ1週間に1回程度 | ほぼ2週間に1回程度 | ほぼ1か月に1回程度 | 数か月に 1回程度又はほとんどない | まったくない | 不明 | |
登録型 | 16.8 | 16.5 | 9.5 | 6.4 | 6.6 | 16.9 | 25.8 | 1.5 |
常用 雇用型 | 27.0 | 18.9 | 9.3 | 6.2 | 6.8 | 16.0 | 14.8 | 1.0 |
登録型の残業が「ほとんど毎日ある」と回答した割合は16.8%と比較的少ないです。
これは、登録型派遣のスタッフにはフルタイムで働いていない人が多く、求人探しの段階で「残業なし」の条件を探せるためと考えられます。
対して常用雇用型を見ると「ほとんど毎日ある」と回答した割合は27.0%とかなり高い割合です。
「2~3日に1回程度」が18.9%とこちらも高く、先ほどの数値と併せて常用型派遣の45.9%となり、半数近くの常用型派遣スタッフが多く残業をする結果となります。

常用型派遣の場合はフルタイムで働く方が多いため、どうしても残業頻度が高くなるんですよね…。
派遣社員は残業を強いられても断れる?
残業したくないのに残業を強いられるケースがあります。
ここでは確実に残業を断れる場合、断れない場合の両方を見ていきます。
派遣社員が残業を断れる場合
登録した派遣会社で36協定が結ばれていない場合、確実に残業を断れます。
派遣先企業が残業を支持しても、ルール上できないのです。
また、労働条件通知書で「時間外労働がある」という記載がない場合も断れます。
派遣社員が残業を断れない場合
先ほどとは反対に、登録した派遣会社で36協定が結ばれていて、労働条件通知書で「時間外労働がある」という記載がある場合、残業を指示されたら応じなければなりません。
ですが、上司に相談して残業しなくてもいいと分かった場合は、残業の指示に応じる必要はありません。

ただ、毎日残業を断ることはさすがにできませんので、ほどほどにしましょう…。
派遣社員が残業したら残業代は出る?
もちろん派遣社員にも残業代は支払われます。
労働基準法によると原則的に1日8時間、1週間で40時間を超えて働く場合、通常業務の25%以上の割増賃金で支払うことが義務付けられています。
残業代の算出方法は以下の通りです。
具体例で見ていきましょう。
ある派遣社員Aさんの時給が1200円で、勤務時間が10:00~19:00(内休憩1時間)とします。今回は1時間の残業をして10:00から20:00まで働いたと仮定します。
10:00~19:00までは通常の時給が支払われますが、以降20:00までの1時間は「1日で8時間を超える労働」とみなされ、残業の扱いとなります。
この日の給料は以下の金額になります。
- 10:00~19:00の給料→1200円(時給)×1.0(割増率)×8時間(通常勤務時間)=9600円
- 19:00~20:00の給料→1200円(時給)×1.25(割増率)×1時間(残業時間)=1500円
よって、この日の給料はトータル9600円+1500円=11100となります。

派遣会社によって残業代が割増料金になるか否か異なりますので、雇用契約を結ぶ前に派遣会社の担当スタッフに必ず相談しましょう!
派遣社員の残業事情をきちんと理解しよう!
派遣社員の残業事情には法律が絡んできて若干ややこしいですが、この記事の内容を全て押さえれば問題ないです。
派遣会社が「36協定」を締結していない場合、残業しても残業代が出ないので注意しましょう。

労働の正当な対価を得るためにも、派遣社員の残業事情をきちんと理解しておきましょう!