「契約社員は解雇されやすいって噂が…」
「予告をなく急に解雇されてしまった…」
など、契約社員の解雇について、不安に思う人も多いのではないでしょうか。
契約社員は正社員と同じく、法律で雇用が守られています。
契約社員は解雇されにくく、不当に解雇されるケースは非常に少ないです。
たとえ解雇される場合も同様に、全ての労働者は法律で守られていることを覚えておきましょう。
しかし事実として、不当に解雇される契約社員の方も多くいますよね。
そこで今回は、契約社員が不当な解雇をされた場合の対処方法について解説していきます。
契約社員であっても不当な解雇がされないよう、事前に契約社員の解雇について理解を深めておくことが重要ですね。
契約社員は解雇されやすいのか
契約社員は正社員とは違い、雇用期間が予め定まっているので、契約更新月がありますよね。
契約社員は契約満了時に、雇用契約の更新ができないと「退職扱い」になります。
また正社員よりも雇用期間が短く、立場が弱いという世間のイメージから、契約社員は解雇されやすいと誤解している人が多いです。
実は正社員を解雇するよりも、契約社員の解雇の方が難しいと言われているのをご存じでしょうか。
なぜなら労働契約法によって、契約社員の雇用は守られているからです。
契約社員の契約期間中に解雇されない理由2選
契約社員の契約期間中であれば、不当に解雇されるリスクはかなり低いです。
何度も言います。契約社員は不当に解雇されません。
ただ悪徳な企業であれば、契約社員を不当に解雇している場合もあります。
もし不法な理由で解雇された場合は、適切な対処を実施して身を守りましょう。
それでは、契約社員の雇用期間中の解雇されにくい理由を2つ解説します。
①契約社員の能力不足による解雇は許可されない
先程、契約社員は雇用が法律で守られているので、不当な解雇はされないとお伝えしましたよね。
契約社員の能力不足や協調性欠如を理由とした解雇は原則不可です。
また契約期間中に本人の能力不足により、解雇された事例は原則としてありません。
よほどの理由がない場合は、不当な解雇と見なされるので安心です。
基本的に企業は契約社員の契約期間中は、不当な解雇はできないと覚えておきましょう。
ただ契約社員側が経歴詐欺等をしていた場合は、解雇される確率が高くなります。
企業側はミスマッチを防ぐために、契約期間は予め短く設定している企業が多いです。
②契約社員には雇止め(クビ)がある
有期雇用社員に適用される「雇止め」という言葉をご存じでしょうか。
雇止めとは、企業側が有期雇用社員の契約満了時に、契約の更新をしないことです。
契約社員は、雇止めされやすいということを理解しておきましょう。
契約社員が解雇よりも雇止めがされやすい理由は、2018年の4月に施行された無期雇用転換ルールが関係しています。
無期雇用転換ルールが施行されたことにより、契約社員は同じ雇用主の元で5年働くことで、無期雇用に申し出ることが可能になりました。
無期雇用として働きたい場合は、しっかりと実績を残しておくことが大事ですね。
契約社員の雇止め(クビ)は違法にもなり得る?!
契約社員の雇止め(クビ)も解雇のときと同様に、法律で守られています。
下記の労働契約法19条に、雇止めが違法になる条件が記されています。
また契約社員が働き続けたい場合は、企業に契約更新したい意思を伝えておきましょう。
契約社員は契約満了時までに、契約更新したい意思を伝えていない場合は雇止めになってしまいます。
(有期労働契約の更新等)
第十九条
二 当該労働者において当該有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるものであると認められること。(引用元ページ:e-GOV法令検索)
不当な雇止め(クビ)をされた場合の対処方法
納得のできない雇止めをされた場合は、労働契約書を確認し更新の有無について確認しておきましょう。
契約書の内容によっては、企業側の対応が違法となる場合があります。
企業は従業員に対して、30日以上前に雇止めの通知をしなければなりません。
雇止めの通知対象となる契約社員は、1年以上同じ雇用主と雇用契約を結んできた人です。
さらに3回以上契約更新されている契約社員に対しても、通知をする義務があります。
不当な雇止めをされた場合は、企業に詳細な理由も訪ねてみることが大事です。
退職勧奨は解雇とは意味が違う
皆さんは退職勧奨を知っていますか?
雇用主が従業員に対して、退職を勧めることを退職勧奨と言います。
退職勧奨をされたからといって、従業員の意思とは関係なく解雇されることはありません。
また企業から退職勧奨を受けて退職をした場合は、会社都合による退職として扱われます。
退職勧奨に応じるかは、従業員の自由意志です。
契約社員の解雇は正社員と同様の扱い
解雇に関しては、契約社員であっても正社員と同じ扱いです。
全ての従業員の雇用は、労働契約法によって法律で守られています。
たとえば契約社員は、労働契約法第17条に定められている通り、「やむを得ない事由」でない限り解雇されることはありません。
契約社員が契約期間中に解雇される場合は、天変地異や業績不振等の理由であれば認められます。
(契約期間中の解雇等)
第十七条 使用者は、期間の定めのある労働契約(以下この章において「有期労働契約」という。)について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。
(引用元ページ:e-GOV法令検索)
契約社員を解雇するには解雇予告が必要
契約社員としての働き方は、いつ解雇されるかわからないという不安がありますよね。
企業が契約社員を解雇したい場合は、30日以上前に解雇予告をしなければなりません。
契約社員を急に解雇することは、法律で固く禁止されているので、安心ですね。
もし企業が30日前に解雇予告をしなければ、企業は30日に不足している平均賃金を契約社員に支払う義務があります。
雇用契約を不当に破棄された場合でも、賃金が保証されていることを覚えておきましょう。
解雇予告の目的は?
契約社員側にとっても大事な解雇予告ですが、何のために施行された取り決めなのでしょうか。
解雇の予告及び解雇予告手当ての目的は、仕事を失ってしまう契約社員の損害を和らげるために作られたものです。
また企業が解雇予告手当を支払わない場合は請求すれば、支払われます。
(付加金の支払)
第百十四条 裁判所は、第二十条、第二十六条若しくは第三十七条の規定に違反した使用者又は第三十九条第七項の規定による賃金を支払わなかつた使用者に対して、労働者の請求により、これらの規定により使用者が支払わなければならない金額についての未払金のほか、これと同一額の付加金の支払を命ずることができる。ただし、この請求は、違反のあつた時から二年以内にしなければならない。
(引用元ページ:e-GOV法令検索)
契約社員が急に解雇された時の対処方法2選
いくら法律で守られているからといって、不当に解雇されないとは限りません。
残念ながら、全ての企業が適切な解雇をしてくれる訳ではないです。
中には正しい法律を勉強していない雇用主もいます。
自分の身は自分で守れるように、事前に準備しておくことが大事ですね。
不当に解雇された場合は、以下の2つを就業先にしてみましょう。
2. 不当解雇を主張して理由を確認する
①解雇通知書を発行してもらう
解雇通知書は、企業が従業員に対し雇用契約を更新しないことを、通知するために発行される文書です。
解雇通知書を受け取ることで、解雇の正当性を確認できます。
不当な解雇だった場合の証拠にもなるので、必ず就業先に解雇通知書を作成してもらいましょう。
もし口頭で解雇予告された場合は、企業に解雇通知書を請求してくださいね。
証拠があることでトラブルを阻止できます。
②不当解雇を主張して理由を確認する
解雇通知書に記載されている解雇事由に納得ができないときは、必ず詳細を確認するべきです。
解雇通知書に事由の記載がない場合は、解雇事由証明書を発行してもらいましょう。
企業は従業員が解雇事由証明書を請求してきたら、速やかに書類を提出しなければなりません。
もし企業が速やかに発行しなかったら、企業に罰則が与えられる可能性もあります。
ただ解雇事由証明書を請求できるのは、解雇されてから2年以内です。
内容によっては、解雇の取り消しも申請することができます。
解雇された際は忘れないように、はやめに請求しておきましょう。
契約社員は失業保険を受給できる
契約社員であっても、社会保険や雇用保険に加入する義務があります。
正社員が退職した場合は、給付制限が設けられていますが、契約社員には給付制限がありません。
契約期間が満了後に、失業保険を受給できるので必要であれば申請しましょう。
ただし契約期間の途中で退職してしまったら、受給制限が発生します。
契約社員の解雇が認められる可能性があるケース3選
契約社員の不当な解雇は、法律で許可されていないことがわかりましたね。
しかし全ての契約社員が、真面目に働いている訳ではありません。
契約社員の解雇が認められる状況は、どのような状況なのでしょうか。
業務態度が著しく悪い場合は、解雇されるのは必然の結果ですよね。
それでは1つずつ解説していきます。
2. 経歴詐欺をしていた場合
3. 顧客対応が著しく悪い場合
①無断欠勤を繰り返している
無断欠勤を繰り返す契約社員は、企業との就業規則を違反しています。
常に悪い意味で周りに迷惑をかける契約社員を、解雇したいのは当たり前ですよね。
企業は契約社員であっても、そう簡単には解雇はできません。
ただ無断欠勤をしていた証拠があるのであれば、解雇されます。
何かしら欠勤しなければならない事情があるなら、しっかりと就業先に報告しておきましょう。
②経歴詐欺をしていた場合
契約社員の転職であれば、経歴を隠したがる人も多いですよね。
しかし履歴書には、真実のみを記載することが大事です。
懲戒解雇にあたるのは、「重大な経歴詐欺」が該当します
特に学歴詐欺や職歴を偽るのは、懲戒解雇される場合もあるので、辞めておきましょう。
入社した後に、職歴詐欺により懲戒解雇が認められたケースもあります。
特に職歴詐欺は、企業が期待しているパフォーマンスを発揮できないので、企業と従業員のどちらにもメリットがありません。
③顧客への対応が著しく悪い場合
勤務態度は悪い従業員は、最悪の場合は解雇されてしまう場合があります。
ただ勤務態度がのみの理由で、一方的に解雇されるのは稀です。
協調性がないだけでは解雇はされませんが、顧客対応が著しく悪いのは解雇されるかもしれません。
退職させられる義務がなくても、企業から退職勧奨がくると居心地が悪くなりますよね。
契約社員を即日解雇できる条件2選
契約社員であっても、解雇されるのは簡単なことではありません。
即日解雇とは、従業員に解雇通知するのと同時に、雇用を解雇することです。
また企業は30日分の平均賃金を支払えば、契約社員を即日解雇できます。
そこまでして即日解雇されることは、滅多にありません。
即日解雇が認められる場合もあるので、詳細を確認しておきましょう。
(解雇の予告)
~省略~
第二十条 但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。
(引用元ページ:e-GOV法令検索)
①懲戒解雇に該当する場合
解雇には、普通解雇と懲戒解雇があるのをご存じでしょうか。
懲戒解雇の場合は、企業は契約社員を即日解雇できます。
基本的には、就業規則と労働規約に記載されている取り決めを守らない場合が該当します。
就業規則や労働規約に懸念がある際は、直接企業に確認することが大事です。
全ての従業員は原因となる事由に対し、「客観的に合理的な理由」があった場合に、懲戒解雇が有効となり解雇されます。
②天災事変その他やむを得ない事由
天変事変やその他やむを得ない事由とは、どのような事由なのでしょうか。
簡単に言うと、雇用主でコントロールできない事由だと言えます。
たとえば震災や火災等で、事業が大きな損害を受けている場合です。
企業の経営不振も当てはまります。
このような状況であれば、雇用主は契約社員を解雇予告なしに解雇できます。
まとめ~契約社員は解雇されやすい訳ではない!不当な解雇をされたら適切な対処をしましょう!~
契約社員は解雇されやすい訳ではなく、契約社員の更新が難しいということを理解できましたね。
また契約社員は、解雇予告を受けることができます。
契約社員であっても、急に即日解雇されることは原則ありません。
また30日以上前に解雇通知が届かない場合、解雇手当金を企業から受け取ることができます。
本記事を参考に、不当な解雇を言い渡されたら、適切な対処方法を実践してみてください。