派遣先で失敗したことがある人は「また自分に合わない業務をさせられるのではないか」などと不安に感じることがあるかもしれません。
また、初めて派遣で働く場合には、どの派遣会社を選べばよいのかという段階で迷ってしまうこともあるでしょう。
この記事では、派遣で働きたい人に向けて、派遣で失敗しないための派遣会社の選び方や、派遣先・仕事の選び方を紹介します。
また、失敗してしまった場合の対処方法についても解説します。
不安を解消して自分に合った派遣先を探しましょう!
失敗しない派遣会社の選び方
派遣で仕事をするうえで重要なのが派遣会社の選択です。
好条件の勤め先がたくさんあるか、親身に相談に乗ってもらえるかなどは、失敗を少なくする前提条件といえるでしょう。
派遣会社は法律上の雇用主でもあるため、福利厚生やキャリアアップのための環境が充実しているかどうかもチェックしたいところです。
ここでは、派遣会社の選び方のポイントを5つ紹介します。具体的には以下の通りです。
- 大手の派遣会社を選ぶ
- 担当者との相性
- 希望の業界・業種に強い会社
- 福利厚生の充実度
- 優良派遣事業者
①大手の派遣会社を選ぶ
大手の派遣会社とは全国各地に事務所を展開しており、メディアでもよくみかけるような規模の大きな会社です。
たとえば、リクルートスタッフィング、テンプスタッフ、マンパワーなどがあります。
このような派遣会社のメリットは、求人数が多いことと福利厚生が充実していることです。
また、特に女性の人の場合、対応が丁寧で安心できるという声も多く聞かれます。
派遣で仕事をするのが初めての場合や、産休・育児からの復職、一般事務のように専門性が薄い職場を希望するケースなどは、大手派遣会社を選んでおけば失敗が少ないといえます。
②担当者との相性
派遣会社で主に自分の担当者となってくれるのは、派遣先のコーディネーターになってくれる人と、働いた後にフォローしてくれる営業の2人です。
同じ人の場合、担当者との相性はさらに重要になるでしょう。
担当者との相性は人それぞれなので一概には言えませんが、一般的には派遣会社の規模が大きいほど対応のレベルが高いと言われています。
その理由としては、大手派遣会社ほど就職先として人気が高く優秀な人材が集まりやすいことや、ノウハウが定式化していることなどが挙げられます。
地元密着型や専門職に特化した会社は、特定の分野に強みのあるのが特徴です。
自分の希望条件にマッチしていれば、担当者から有益なアドバイスや手厚いフォローを受けられることもあります。
③希望の業界・業種に強い会社
エンジニア系や医療系など、特定の職種や企業の求人を専門的に扱う派遣会社は、専門系派遣会社と呼ばれています。
自分の就きたい仕事が限られる場合や、専門的な知識や経験、資格を持っている場合は、専門系派遣会社に登録することで、条件のよい企業で働ける可能性があります。
ただし求人数だけで比較すると、ほとんどの専門系派遣会社より大手の派遣会社のほうが多いという事実は見逃せません。
中小派遣会社のなかには、これといった強みがないことから、専門系派遣会社と宣伝しているケースもみられます。
登録してみたものの希望の派遣先がみつからないといった失敗をしないためにも、事前のチェックが重要です。
④福利厚生の充実度
派遣社員は法律上の雇用主は派遣会社です。つまり、福利厚生が充実しているかどうかは所属する派遣会社によって変わります。
多くの派遣会社が採用しているのは「はけんけんぽ」という健康保険です。医療費や入院費の補助、健康診断などの保障が充実しています。
福利厚生の面で失敗しないためには、基本的な保障だけでなく教育制度や資格取得支援制度、子育て支援などの付加価値に注目するのがポイントです。
なかには正社員とほとんど変わらない充実した福利厚生を持つ派遣会社もあります。
逆に、法律上義務付けられている内容しか記載していない派遣会社は、あまり期待できません。
⑤優良派遣事業者
優良派遣事業者とは、厚生労働省によって一定基準以上の事業者であると認定された派遣会社のことです。
「派遣社員のスキル形成体制が整っているか」「より良い労働条件の確保を目指しているか」「派遣先でのトラブル対応が適切か」などをチェックして認定しています。
名が通った派遣会社のほとんどは認定を受けていますが、一応確認しておくと安心できます。
中小規模の会社を選ぶときは、派遣会社選びの失敗を防ぐ目安として活用してみてはどうでしょうか。
失敗しない派遣の仕事の選び方は?
派遣会社選びと同じくらい重要なのが、派遣先の企業選びです。
実際働いてみないとわからない面があるのは確かですが、自分で事前にチェックできることもあります。
業務内容や社風などでのマッチングミスも多いため、労働条件や自分の気持ちをひとつ一つ確認することが失敗を減らすために大切です。
ここでは派遣先選びのチェックポイントを5つ紹介します。
業務内容を十分に確認する
派遣先選びの失敗の原因で多いのが、業務内容を十分に確認していなかったことです。
「未経験でもできる」「一般的な事務作業」など、あいまいな理解で済ませてしまうと、いざ仕事に就いたときに大変な思いをしてしまうかもしれません。
派遣先で仕事をする前には「基本契約書」と「個別契約書」の契約書が交わされます。
ここに書かれている以外の業務を、企業は派遣社員にさせてはいけない決まりになっているのです。
業務内容の詳細で重要なのは個別契約書のほうで、この書類に担当する業務内容や所属する組織・部署、直属の上司、就業時間などが書かれています。
不明な点があれば派遣会社や企業に問い合わせて、失敗を未然に防ぎましょう。
収入や待遇面だけで選ばない
極端な言い方をすれば、派遣会社が提供してくれる情報は働く場所と時間、給与の3つに過ぎません。
しかし、だからといって収入や待遇面だけで決めてしまうと、派遣先選びで失敗するリスクが高くなってしまうでしょう。
たとえば、正社員にキャリアアップしたい人と、家庭優先で余裕を持って働きたい人では理想の企業像は全く違います。
黙々と作業する職場を好む人もいれば、雑談も交えながら和気あいあいと働きたい人もいるでしょう。
収入や待遇面以外に、自分のビジョンや性格に合う企業かどうかなど、数値化できない要素にも注目して選びましょう。
派遣会社スタッフが就業している職場
優良な派遣先選びのテクニックの一つといえるのが、同じ派遣会社の人が働いているかチェックすることです。
ある程度長い間働いている派遣社員がいれば、似たような条件で働き続けたいと思える企業であると考えられます。
派遣会社のホームページなどに派遣社員の口コミが載ることもあるので、併せて確認しておきましょう。
同じ派遣会社の人がいない場合は、少し注意が必要です。
特に心配なのは、派遣会社にとって初めての派遣先になる場合です。
企業側が派遣社員の扱いに慣れておらず、業務の負担が大きい場合があります。
派遣社員が働いているか、働いていたことがあるか確認しておきましょう。
職場環境を確認する
快適な職場環境かどうかも重要です。職場を見学させてもらえる機会があれば、自分の目で確認しておきましょう。
チェックポイントは職場の衛生状態や食事場所、休憩スペース、トイレなどです。
また、一緒に働く人の年齢層や性別、職場の雰囲気なども知っておきたいところです。
派遣会社との打ち合わせや企業との面接の際に「職場環境を拝見させてください」と申し出ておくと、時間を取って案内してもらいやすくなります。
通勤環境を確認する
意外に軽視してしまいがちなのが通勤環境です。できれば実際の時間帯に通勤環境をチェックしておきましょう。
通勤経路だけでなく電車やバスの混雑具合、乗り継ぎのしやすさ、駅から職場までの距離などを自分の足で確かめておくと、通勤ストレスの度合いがわかります。
また、勤務先近くにコンビニや飲食店があるか、会社帰りに寄れる商業施設があるかなどもチェックしておきます。
自分のライフスタイルに合った通勤環境や場所であるだけでも、働きやすくなります。
派遣の仕事選びに失敗したときの対処法
しっかり調べて派遣先を選んでも、失敗してしまうことはあります。
もし派遣先の仕事や人間関係でトラブルが起きてしまったら、誰に相談したらよいのでしょうか。
また、派遣先の仕事を中途解除することはできるのでしょうか。
ここでは、仕事選びに失敗してしまったときの対処法を3つ紹介します。
①派遣会社の担当者に相談する
業務のやり方などについての相談は、もちろん派遣先の上司などに聞いてかまいません。
しかし、労働災害やパワハラなど重要な内容の場合は、雇用主である派遣会社の担当者に相談しましょう。
多くの場合、派遣後のフォロー役をしている営業担当者に声をかければ、その人が対応してくれるか、別の担当者に話を回してくれるはずです。
人間関係についての重度の悩みや、想定していた業務内容と大幅に違う場合なども、まずは営業担当者に相談してみましょう。
契約満了時に更新してもらえないなども、決定権は派遣先の企業が持っているため、派遣社員が直接交渉しても基本的には相手になってもらえません。
納得できない場合は派遣会社に間に入ってもらいましょう。
②派遣会社に相談して中途解除
業務内容や労働環境にどうしても納得できない場合は、派遣会社に相談して中途解除をしてもらう流れになります。
デメリットとしては、派遣会社からの評価が下がってしまうことが挙げられますが、体や心を壊してしまうような場合はやむをえません。
その会社を辞めてもまた次があるのが派遣のメリットでもあるので、割り切ることも大事だといえるでしょう。
中途解除ということで、損害賠償のようなものが発生するのではないかと心配になる人もいるかもしれません。
しかし、労働基準法第16条には損害賠償請求ができない(そのような派遣契約ができない)と明記されています。
万一、悪質な企業や派遣会社からお金を請求された場合には、ハローワークや労働センターなどに相談しましょう。
③契約満了まで我慢して働く
中途解除にペナルティがないとはいえ、契約をした事実は変わりません。
明確な基準はないものの、「病気で入院する」など常識的にやむをえない場合しか解除は認められません。
職場の人間が気に入らないというようなときには、契約満了まで働くことも必要です。
どうしても我慢できない状況があり、派遣会社の担当者に相談しても改善されない場合、直接派遣先企業に相談することもできます。
派遣法第40条では、企業が派遣社員から苦情を受けたときは派遣会社に通知するとともに、誠意を持って迅速に処置しなければならないことになっています。
派遣で失敗しないためにやるべきこと
失敗を完全になくすことは難しいですが、できれば余計な失敗はしたくないものです。
ここでは、どのようなことに気を付ければ派遣で失敗にくくなるのか、5つのポイントを紹介します。
①キャリアプランをたてる
同じ会社で長く働き続ける正社員のような働き方では、キャリアプランを持っていなくても、先輩社員を目標にしやすいといえます。
しかし、派遣社員の場合、そのような具体的な人物がみつからないことも多いため、より強くキャリアプランを意識することが重要です。
派遣社員は即戦力での活躍を期待される面が多いですが、逆にスキルがあれば、多くの企業から求められる人材となります。
業務を通じてさらにスキルや専門性を伸ばすこともできるでしょう。
近年、同一労働同一賃金や無期雇用派遣の制度など、派遣社員の労働条件を改善する法律も施行されてきています。
キャリアプランを持つことは、よりよいライフプランも立てるためにも必要です。
②希望条件を明確にする
仕事選びの失敗理由としてよく聞かれる内容は「深く考えて派遣先を選ばなかった」というものです。
業務内容をしっかり確認することはもちろん重要ですが、その前の段階ですでに失敗の原因を作っていることもあります。
たとえば「何でもいいので働きたい」「誰でもできる簡単な仕事」など、あいまいな内容を派遣会社の担当者に伝えていることはないでしょうか。
「工場のライン作業がしたい」「一般事務を希望」などの内容は一見すると具体的に思えますが、派遣先の範囲はとても広いので、自分のイメージと違う業務内容になりかねません。
仕事のレベルや労働環境など、できるだけ具体的で客観的な条件を派遣会社の担当者に伝えることが、失敗しないポイントです。
③自己分析を十分におこなう
派遣で働いていると、ときに労働力を取引されているように感じるかもしれません。
資本主義社会である以上それは事実ですが、だからこそ自分本位のスタンスが重要です。
「キャリアアップにつなげられそうな業務内容か」「短時間労働など多様な働き方が認められているか」「やりがいを持って働けそうか」など、自分の希望を優先させることも大切です。
仕事で何を実現したいかによって派遣先に求める条件は変わってきます。
自己分析の時間もしっかり取りましょう。
④資格取得・スキルアップに取り組む
資格を取得したりスキルアップに取り組むことは、採用される可能性を高めたり、給与や待遇面の条件がよい派遣先で働きやすいメリットがあります。
高度な資格を持てば、正社員や独立・開業などのステップアップも期待できます。
多くの派遣会社では、資格取得支援制度があります。たとえば、無料で資格取得のセミナーを開催していたり、資格を取得すると受験料にあたる金額をもらえたりするなどです。
通常、派遣先で一定期間以上働くと、この制度を活用できます。
すでに派遣会社に登録済みの人はどのような内容があるか確認してみてはどうでしょうか。
まだ派遣会社を決めていない人は、資格取得支援制度の充実度も比較検討してみましょう。
⑤プロに相談する
派遣で働くことについて具体的で的確なアドバイスをもらいたいと思ったら、頼りになるのはやはりプロです。
相談先として気軽に相談しやすいのは、派遣会社の営業担当者です。
いろいろな企業や派遣社員を知っているので、適切な対応をしてもらえるはずです。
また、派遣会社によってはキャリアコンサルトを担当する専任スタッフがいる場合もあります。
特にキャリアプランや自分の希望に合った派遣先の条件などについて、有益なアドバイスがもらえます。
経験豊富なスタッフや「キャリアコンサルティング技能士」という国家資格を持つ人に相談すると、より信頼できるのではないでしょうか。
メンタルヘルスケアのスタッフがいる場合もあります。
メンタルヘルケアの場合、派遣先企業で相談に乗ってもらえるケースもあるので、気になる場合は調べてみましょう。
まとめ
派遣で失敗しないための第一歩は、派遣会社の選び方といえます。
自分の希望する業種や企業の求人数は多そうか、スタッフの対応が良さそうか、福利厚生は充実しているかなどをチェックしましょう。
派遣先を選ぶ際には、業務内容や収入、待遇面をしっかり調べるとともに、自分に合う会社かどうかを見極めることも重要です。
職場環境や通勤環境などを、できれば実際に自分の目と足で確認しておきましょう。
しかし、準備・調査を入念にしても派遣の仕事選びに失敗することもあります。
その場合は、派遣会社の営業担当者やキャリアコンサルタントのスタッフなどに相談しましょう。
どうしても我慢できない場合は、中途解除という方法もあります。
いずれにしても、派遣で失敗しないために根本的に大事なのは、自分がどのように働きたいのか、何を実現したいのかということに尽きるでしょう。
自己分析やプロに相談をしながら希望条件を絞り込み、やりがいや働きやすさを感じる企業を探していきましょう。
資格取得などでスキルアップを図ることも大切です。