「契約社員の5年ルールって何だろう?」
「5年ルールの対象者・適用条件が知りたい…」
などなど、契約社員の5年ルールについてこうお思いの方もいますよね。
なかには契約が更新されるか不安な方もいますし、こうしたルールについては押さえておきたいところ。
今回そんな契約社員の方に向けて、契約社員5年ルールについて深堀していきます。
契約社員の「5年ルール」とは?
まずは契約社員の5年ルールとは何か。カンタンに概要から解説していきます。
契約社員の5年ルールの対象者は?
5年ルールの対象者は、1年や6月ごとで契約更新する雇用形態のうち全労働者が該当します。
もちろん契約社員も期間の定めがあるならば、上記に5年ルールの対象者となります。
また、アルバイトやパートの方も5年ルールの対象です。
契約社員の5年ルールの適用条件は?
5年ルールの適用条件は以下の4つです。
<5年ルールの適用条件>
- 契約更新回数が1回以上である
- 有期労働契約が更新されて通算5年を超えている
- 無期転換の申込時点で同一使用者との間で契約をしている
これらの条件について、もう少し詳しく見ていきましょう。
条件①契約更新回数が1回以上である
たとえば契約社員で6年間の契約を結んでいた場合、5代目になったところで無期転換への申込権利は発生しません。
この場合、申込権利が発生するのは、契約更新をした6年目からになるんです。
また、契約社員が無期労働契約ができるようになるには、現在の契約が終了してからでないといけないんです。
先ほどのように6年間契約で進めると、無期労働契約が適用されるな2度目の契約更新が済んでからの話。つまり労働者自身が働いて12年後になってしまいます…。
ちなみに3年間契約の場合、初めの契約更改後に申込権利が発生しますから、その労働者と企業間での無期雇用契約は7年目から適用されますよ。
条件②有期労働契約が更新されて通算5年を超えている
部署・仕事内容が違っていても同じ会社で働いているなら、通算5年を超えているなら5年ルールが適用されますよ。
条件③無期転換の申込時点で同一使用者との間で契約をしている
無期転換への申込をするタイミングで、同一使用者との間で契約しないといけません。
ちなみに派遣社員だと派遣元(派遣会社)と雇用契約を結ぶため、派遣元が使用者になります。
よって派遣社員の場合は、無期転換への申込権利が派遣元との間で発生するんです。
5年ルールの例外”クーリング期間”とは?
契約社員の5年ルールには例外があります。
場合によっては、契約期間の通算対象から除外されるケースがあるんです。このことを”クーリング”と呼びます。
クーリングかどうかは、無契約期間が6ヶ月以上か6ヶ月未満かで判断されますよ。
無契約期間とは?
退職して同一の会社との間で有期労働契約を締結していない期間のこと。
無契約期間の前の通算契約期間が”1年以上”の場合
無契約期間の前の通算契約期間が”1年以上”の時は、さらに無契約期間の長さによってクーリングの適用可否が決まります。
無契約期間が”6か月以上”の場合
もし無契約期間が6ヶ月以上続いた場合は、その無契約期間以より前の契約期間は、5年ルールの通算対象から除外されてしまいます。
通算5年のなかにはカウントされず、クーリングと見なされます。
無契約期間が”6か月未満”の場合
対して無契約期間が6ヶ月未満だったときは、無契約期間より前の有期労働契約は通算対象に含まれます。
通算5年にカウントされるため、クーリングとは見なされません。
無契約期間の前の通算契約期間が”1年未満”の場合
無契約期間より前の通算契約期間が1年未満のときは、無契約期間の前の通算契約期間と、その後の無契約期間に従ってクーリングの可否が決まります。
無契約期間より前の通算契約期間 | 無契約期間 |
---|---|
2ヶ月以下 | 1か月以上 |
2ヵ月~4ヶ月以下 | 2ヶ月以上 |
4ヵ月~6ヶ月以下 | 3ヶ月以上 |
6ヵ月~8ヶ月以下 | 4ヶ月以上 |
8ヵ月~10ヶ月以下 | 5ヶ月以上 |
10ヶ月超~ | 6ヶ月以上 |
(引用元ページ:厚生労働省)
上記表の左欄に応じて右欄の期間に該当する場合、無契約期間より前の有期労働契約は通算契約期間に含まれません。つまりクーリング対象となります。
なお上記に当てはまる場合、無契約期間の次の有期労働契約より、通算契約期間のカウントが再スタートしますよ。
無期転換には”労働者側の申込”が必要
今回ご紹介した契約社員の5年ルールによる無期転換については、労働者側本人から申込をしないといけません。
仮に5年が経過しても、自動で無期労働契約とはならないんです。もし申し込みがなければ、契約社員のままで有期労働契約が続きます。
ただし申し込めば会社側は断れません。無期労働契約で働きたい場合は、この点を忘れないようにしましょう。
書面でことを進めれば、トラブルを防ぎつつ無期労働契約できますね!
契約社員の無期転換によるメリット3つ
では契約社員で無期転換した場合はどんなメリットがあるのか。具体的な以下の通りです。
<契約社員の無期転換によるメリット>
- 実質的に雇い止めのリスクがなくなる
- 雇用が安定する
- 正社員とほぼ同等の福利厚生を受けられることも
①実質的に雇い止めのリスクがなくなる
契約社員は”有期”雇用なため、働いていると雇止めのリスクがつきまとってしまいます。
ですが転換して”無期”雇用となれば、そんな雇い止めの不安もなくなって、お仕事に集中しやすくなります。
契約更新でおびえる心配もないですね!
②雇用が安定する
契約が無期限になるため、やはり雇用は安定します。
雇用が安定する分、長期的なキャリア形成も図れますし更新のことでの不安も解消できます。
③正社員とほぼ同等の福利厚生を受けられることも
福利厚生は正社員と契約社員で、待遇格差があることも。正社員は受けられても契約社員に受けられないサービスもあります。
ですが無期に転換することで、正社員と同じくらいの待遇・福利厚生を受けられるケースがあります。
ただしこの点は雇用先次第なため、大きく変わるかはなんとも言えないところです。
無期転換のデメリット3つ
反対に無期転換することで、こんなデメリットがあるんです。
<契約社員の無期転換によるデメリット>
- 説明なしで無期雇用転換させられることも
- 仕事の責任が重くなることも
- 待遇・収入に大きな変化には期待できない
①説明なしで無期雇用転換させられることも
場合によっては、特に詳しい説明なしに無期雇用転換をさせられるケースもあるんです。
そのため、契約社員として働きたい、あるいは契約社員の働き方に強い魅力・メリットを感じた方からするとリスクになります。
たとえば会社によってはパート(有期雇用)を一斉に無期転換しまうケース。
仕事の責任が重くなるのを避けたいならば、パートの無期転換雇用が多い職場は注意しましょう。
②仕事の責任が重くなることも
仕事内容は変わらないのに、契約社員の頃と比べると仕事の責任が重くなるケースもあります。
正社員と比べると比較的仕事の責任が重くないところも契約社員の魅力ですが、責任もある程度避けて働きたい方からすればデメリットになります。
とはいえ無期転換しても、正社員ほど重い責任を負う必要まではないです。
③待遇・収入に大きな変化には期待できない
有期→無期になったからといって、別に正社員になったわけではありません。
無期転換して雇用関係が続くだけであって、正社員と同じくらいの扱いを受けるかは難しいところです。
また、労働条件は有期雇用契約の時から引き継がれるケースも多いです。
加えて無期転換しても、昇進・昇給などにもそれほど期待はできません。福利厚生についても従来通りになるケースが多いです。
これらの点から、無期転換しても劇的変化がほぼない点にも注意しましょう。
契約について困ったときの相談先
今回ご紹介した5年ルールについては、労働者・使用者間でのトラブルも多いです。
たとえば、契約社員側からこんな声があがっているのが現状です。
「”無期転換は困るので契約更新しない”と言われた…」
「無期契約の給料を時給換算したら給料が下がってた…」
「無期雇用への転換権の放棄するよう言われた…」
会社側の都合で、このように不利益な状況にもなり得ます。
もしこんな問題が起きた時は、労働基準監督署の「総合労働相談コーナー」あるいは各都道府県の労働局に相談してみましょう。
労働基準監督署や労働局の所在地・電話番号などについては、こちらのページもチェックしてくださいね。
まとめ~契約社員の5年ルールを押さえよう~
今回は契約社員の5年ルールについて詳しく解説してきました。
なかなか複雑なルールですが、今一度しっかりと把握して未然にのトラブル防止に努めましょう。
また無期転換には、必ず労働者側の申込が必要です。
トラブル防止のためにも、詳細は書面で取り交わすことも忘れないようにした上で対処してくださいね。