最近聞くようになったんだけど「ネットカフェ難民」ってなんのこと?
いわゆるホームレスの一種なのですが、住む場所が無いためインターネットカフェを寝泊まり場所として利用する人を指すんですよ…。
派遣社員を中心とした非正規雇用者のなかには、定住する場所がなく収入もないため、仕方なくネットカフェを利用して暮らす方が多いです。
ただネットカフェ生活には限界があり、多くの問題が蔓延っています。もちろん新型コロナウイルスにも関連があるんです。
なかには「所持金30円で3日間何も食べてない」なんて方もいますし、厳しい現実に直面しています…。
今回はそんな「ネットカフェ難民について、詳しく掘り下げていきます。
ネットカフェ難民とは?
ネットカフェ難民(ネカフェ難民)は定住する家を持たず、寝泊まり目的でインターネットカフェや漫画喫茶を使う人たちを指す造語です。
2020年4月現在、東京都内だけでもネットカフェ難民は約4,000人もいるとされています。
そもそもインターネットカフェとは?
24時間入店可能なカフェで、名前の通りインターネットを使えるところ。漫画は読み放題、各種ドリンクは飲み放題、ネット使い放題の便利な空間です。
1,000円程度で寝泊まりできるため、終電を逃して家に帰れない時や暇つぶしの際にふらっと立ち寄れるのがポイント。
ズラッと並んだ個室空間でサービスを受けられますが、各個室の天井は基本的にないため、プライバシーは筒抜けの状態なんです。
またネットカフェは通常のホテルよりも格段に料金が安い(1泊だと1,200円程度)ため、収入の少ない派遣労働者などが使う様子も目立ちます。
どんな生活をしているの?
ネットカフェは部屋の仕切りこそありますが、天井は空いていて隣の人の声は聞こえてしまいます。
宿泊施設として利用するところではないため、宿泊に使おうとすると何かと弊害が出てくるんです。
食べ物の匂いやイヤホン・ヘッドホンから漏れてくる音、いびきなども聞こえてしまいます。
気になる料金の部分も見てみましょう。東京都内にあるネットカフェ「アプレシオ サンライズ蒲田店」の料金体系(長期パック)を見てみましょう。
東京都内でも1ヶ月で55,500円ですので、かなりお得に暮らせそうですね。ちなみに途中外出は可能で、シャワールームや食事のメニューもあります。
派遣社員のなかには月の手取りが15万円くらいの方も数多くいますので、こうした安価に泊まれる空間は重宝するわけですね。
特に日雇い派遣での生活をしている人は、家賃はもちろん、光熱費・水道費・通信費などを出すのが難しいです。
そのため貯金に回すのは困難で、その場しのぎの状態なのが現状。
なぜネットカフェ難民がいるの?
そもそもなぜネットカフェ難民が生まれてしまうのか、詳しく見ていきましょう。
難民が生まれる理由としては、主に以下3つの問題から起因するケースが多いです。
- 家庭内での問題
- 雇用の問題
- 健康での問題
一つずつ見ていきましょう。
①家庭内での問題
家族と仲が悪い、両親が離婚したなどの理由でネカフェ難民が生まれるケースが多いです。
他にも配偶者や親によるDVや虐待から回避するため、ネカフェ生活をする人もいます。
②雇用の問題
職を失ってネットカフェ難民となる人も多いんです。
寮に住む派遣社員であれば失業と同時に退去させられますので、ネットカフェで暮らそうと考えるわけです。
派遣切りにあった人がネカフェ生活をするケースも、よく、見受けられます。
③健康での問題
高齢や持病、障害を持っているのが原因で働くことが難しい場合でもネカフェ生活を続ける方がいます。
ただネカフェは場所によっては不衛生なところもありますので、結果健康さらに害する可能性もあるんです。
ネットカフェ難民の問題点とは?
安く寝泊まりできるし必要最低限の設備も整っているため、ネカフェ生活は悪くはないんじゃないかと思うかもしれませんが、それは厳しいんです。
ネットカフェ難民の生活では、次のことがしばしば問題点として取り上げられます。
- 犯罪の温床になる
- 「住所不定」になってしまう
- 不衛生な環境で暮らすため体を崩しやすい
①犯罪の温床になる
通常の住宅であれば鍵も閉められますし、セキュリティは強固です。対してネットカフェの場合は鍵はかけられても侵入はたやすいため、犯罪セキュリティ面が弱いです。
各個室の天井部分は基本的に空いていますので、背後から覗き見できてしまうのも問題。
そのため「窃盗被害」が起こる可能性も大きく、決して安全な場所とはいえないんです。
②「住所不定」になってしまう
ネットカフェ難民は住所を喪失した状態ですので、そこで様々な弊害が出てきます。
住所不定の状態が長く続けば「職権消除(市区町村の職務に基づく正当な権限で住民票を消される)」によって住民票を失いかねません。
言ってしまえば浮浪者みたいなものです。
仮に仕事があってそれなりの収入もあっても新しく銀行口座も開設できません。また住民起票台帳に登録がないと、印鑑登録もできないため実印が必要な契約もできません。
賃貸の借り入れ、相撲や柔道車の購入も拒否されてしまいます…。
もちろん信頼面にも関わってきますので、クレジットカードで消費者金融の利用でも拒否される可能性があるんです。
③不衛生な環境で暮らすため体を崩しやすい
一部ではかなり清潔なネットカフェもありますが、多くは通気性が悪く関係の行き届かない不衛生な環境のケースが多いです。
またネットカフェで用意される食事はジャンクなものが多く栄養に偏りが生じやすいです。いざ病気にかかるとかなり大変なことになります。
しかも収入は少ないため通院費用を工面するの難しく、健康保険証を用意するのが厳しいケースもよくあります。その結果インフルエンザや結核など感染経路にもなりやすいため、衛生面でかなり問題がありますね。
最近の新型コロナウイルスの感染拡大により、ネットカフェ難民についても取り沙汰されました。詳しくは次の章で述べます。
新型コロナの影響でネットカフェ難民はどうなる?
新型コロナウイルスの影響で、やはりネットカフェ難民にも大きな影響が出ています。
再三「3密」は避けるようにメディアでも報じられていますが、ネットカフェはその3密の全てに当てはまってしまうんです…。
3密とは?
3つの密「密閉」「密集」「密接」の3要素を総称したもので、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐにあたって避けるべきスポットを指します。
ネットカフェは密閉された空間の中に人が密集して、人と人が密接な状態になりますので、ほとんどの店舗で休業が相次いでいます。
以下画像は池袋にあるネットカフェ「ネトマル池袋西口店」の事例です。2020年4月上旬には緊急事態宣言も出されて休業要請が出ましたので、しばらくの期間は営業休止となりました。
そのほか緊急事態宣言の発令で派遣社員にどんな影響があるのか、休業補償は出るのかなどは以下の記事をご確認ください。
ネットカフェ難民はいま居場所がない!?
ネットカフェが休業・営業自粛となれば、ネットカフェ難民は住む場所がありません。寝泊まりの場所を探さなきゃいけなくなります。
どこにも住めなくなれば最悪ホームレスになる可能性もありますが、そうした人たちに何も手を差し伸べない訳ではありません。
小池知事はネカフェ難民の対策も明言していて、失業により住まいを失った人に対し、一時的な住居を提供する方針を固めています。
現在のところは都営住宅や民間のアパートを400戸分、ビジネスホテル100室分を、新型コロナウイルスの影響で職や住まいを失った人のために確保するとのことです。
あくまで”一時的な”住まいのためいつかは退出することになりますが、住居がない中こうした対応はありがたいですね。
生活保護を受けるのはためらう方も…
「生活が苦しいのであれば、『生活保護』に頼るのも良いのではないか」との声も上がっていますが現実はなかなかそうもいきません。
生活保護を申請すると家族に連絡が届きますので、ご自身がホームレス状態なのを知られてるかもしれないんです。
どうしても感情の問題で生活保護を受けるのをためらう方もいるんですね…。
ネットカフェ難民は給付金10万円を受け取れる?
緊急事態宣言の発令に伴って、政府は全国民を対象に10万円の「特別定額給付金」を給付する方針を固めています。
この額が多いのか少ないのかは人それぞれですが、一旦はその給付金で食いつないでおくのも手です。
「そもそもネットカフェ難民は給付金がもらえるのか?」との声も上がっていますが、総務省は「住民登録をしている市町村で給付申請ができる」とのことです。
派遣切りや雇い止めに遭って収入が激減した方でも、まずはこの10万円で何ができるか考えてみましょう。
パチンコに使ってしまうのか、ご自身のスキルアップに使うのか答えは明白ですね。
【注目】住民票を取れるネットカフェがある!?
今回の記事前半で、ネットカフェ難民が住所不定になってしまう問題を解説しました。
住民票が無ければ何かと不便な思いをするワケですが、なんと東京都内に「住民票を取れるネットカフェ」があるんです!
そのカフェの名前は「cyber@cafe(サイバーアットカフェ)」といい、東京都内には新宿歌舞伎町と北千住、埼玉県西川口に店舗を構えています。
生活保護も就職も、住民票がなければ相手にされないのが現状です。もし休業中でなければcyber@cafeの利用も検討してみてください。
まとめ~ネットカフェ難民について考える~
ここまでネットカフェ難民について詳しく解説してきました。
新型コロナウイルスの感染拡大、緊急事態宣言の影響で派遣切り雇い止めが加速する今、ネットカフェ難民はかなり追い詰められた状況になっています。
もともと生活が苦しい状況なのに、さらに追い打ちをかけられた状態です。
とはいえ何も策を立てずにいるのは怠慢な話。給付金10万円や救援支援サービスをうまく活用して、この危機的状況を乗り切っていきましょう!