派遣薬剤師の働き方が気になる人は、とにかく年収が気になりますよね。
正社員よりも派遣薬剤師の方が「高年収」だといいますが、どれほど違うかについても、気になるところです。
本記事では派遣薬剤師の年収を紹介し、高年収の求人を探すコツについても解説します。
派遣薬剤師になった時のことをイメージすべく、最後まで読み進めていただければ嬉しく思います。
派遣薬剤師は高年収である
派遣薬剤師は一般的に見た場合に、高年収だといえます。
詳細などについて、以下に解説します。
派遣薬剤師の平均年収は519万円ほど
まず派遣薬剤師の平均時給は2,703円です(厚生労働省のデータをもとに算出)
これを月収に換算するとおよそ430,000円であり、さらに年収として置き換えると、およそ519万円という結果になります。
またこれらの金額は、1日の労働時間を8時間とし、週5日の勤務を行ったと仮定して算出しているので、残業をした場合にはさらに金額が増えます。
上記の派遣薬剤師の平均時給をもとにし、仮に毎日1時間残業をしたとすると、下記の金額を得ることができます。
【月収】
{時給2,703円×8時間×20日間}+{(時給2,703円×1.25)×1時間×20日間}=約50万円
【年収】
50万円×12カ月=600万円
また派遣薬剤師の案件によっては、時給4,000円クラスの仕事も存在するので、こういった派遣先で働くと、さらに多くの金額を得ることが可能です。
仮に時給4,000円の仕事についたとして、1日の労働時間を8時間とし、週5日の勤務を行ったと仮定すると、下記の金額を稼ぐことができます。
【月収】
時給4,000円×8時間×20日間=64万円
【年収】
64万円×12カ月=768万円
さらにこの条件で、毎日1時間残業を行ったとすると、下記の金額を得ることが可能です。
【月収】
{時給4,000円×8時間×20日間}+{(時給4,000円×1.25)×1時間×20日間}=74万円
【年収】
74万円×12カ月=888万円
このことから、時給の良い派遣先が見つかり、残業にも対応をするのであれば、年収800万円以上も不可能ではないと言えます。
※注意:上記で紹介した残業した場合の金額は、あくまで法定労働時間を1日8時間として計算しました。
また深夜帯や法定休日の残業については、考慮していませんので、ご了承ください。
派遣薬剤師の平均年収は、一般的な派遣社員よりもだいぶ高い
薬剤師以外の業種においても、派遣社員は一般的に見て高時給です。
東京都を例に出しますが、全業種における派遣社員の平均時給は1,716円※なので、派遣薬剤師の平均時給2,703円と比較しても、だいぶ高いことが分かります。
(※参照元ページ:はたらこねっと)
また東京都の派遣社員の平均時給から、年収を換算した場合には、およそ329万円となります。
派遣薬剤師の平均年収は519万円なので、その差は190万円に及ぶことからも、高年収だということが分かるでしょう。
正社員薬剤師の年収とどう違う?
正社員薬剤師の平均年収を、厚生労働省のデータをもとに算出すると、497万円です。
先ほどの「派遣薬剤師は高年収である」の項目でも紹介した通り、派遣薬剤師の平均年収は519万円※なので、派遣薬剤師の平均年収の方が高くなることが分かります。
その差は22万円ほどですが、正社員薬剤師の平均年収は「ボーナス額」を含むので、業績によりボーナス額が下がった場合には、さらに差が開きます。
※派遣薬剤師の派遣契約が切れて、無収入となる「ブランク期間」が発生する場合がありますが、その点は考慮していないのでご注意ください。
派遣薬剤師の平均時給が高い理由は?
派遣薬剤師の平均時給は「2,703円」であり、正社員薬剤師の平均時給「2,563円」と比較すると、140円も高いことが分かります。
時給の差だけを見ると、少しイメージがつきにくいかもしれませんが、月収の差で考えるとおよそ8万3千円に及ぶので、非常に差があることが分かるでしょう。
このように派遣薬剤師の時給が高いことには、きちんとした理由があります。
- 即戦力として採用をするから
- 人手不足なので、高い給料を払ってでも採用したい
- 短期間契約で雇用が不安定なので、その分を上乗せしている
- ボーナスや交通費の支給がないので、あらかじめ時給に反映している
以下に、順を追って解説します。
①即戦力として採用をするから
薬剤師に限りませんが、派遣社員は基本的に、即戦力としての働きを求められます。
その理由については、採用の背景を見ると分かるでしょう。
さまざまな現場で派遣薬剤師を採用する理由は、下記の通りです。
- 急な退職者の穴埋め
- 繁忙期の期間における人員補充
- ケガでの長期療養や、産休を取得する社員の代わり
- 慢性的な人手不足の解消目的
これらの理由に共通することは、教育に時間をかけられないということです。
つまり派遣先で教育を行わずとも、すぐに現場で働けるようなスキルを持つ「経験値が高い人」を採用したいのと考えるので、高いお金を払うのです。
薬剤師としての経験が浅い人も、派遣社員として働くことは可能ですが、その場合には未経験でも可能な案件を選ぶ必要があります。
この場合には、高時給な案件を紹介してもらえる可能性は、低くなると言えます。
それでも高時給な派遣先で働きたい場合には、後で解説をする「派遣薬剤師で、高年収の求人を探す4つの方法」の項目を参考にしつつ、ポイントをおさえながら仕事を紹介してもらうと良いでしょう。
②人手不足なので、高い給料を払ってでも採用したい
薬剤師が不足すると、お店自体をまわせなくなるケースもあるので、人手不足を早く解消するために、高い給料を払ってでも採用をしたいと考えます。
薬剤師は慢性的に人手不足だと言われていますが、下記のようなところでは、特に人手不足となる傾向にあります。
- 交通の便が悪い地域にある店舗
- 周囲に病院が多く、多忙な調剤薬局
このことから高収入な仕事を紹介してもらうと、「正社員の募集をかけても、なかなか応募が来ない職場」や「正社員を採用したうえでも、業務が回らないような環境」の派遣先が多いことも事実です。
③短期間契約で雇用が不安定なので、その分を上乗せしている
派遣薬剤師の仕事には、必ず派遣期間が設けられていますが、期間満了時に更新がされなければ、そこで仕事がなくなります。
すぐに他の派遣先を紹介してもらえれば良いですが、派遣先が決まらない間は、無収入という状況に陥ります。
このように派遣薬剤師は、短期間契約で雇用が不安定なので、その分のリスクを考慮し、最初から時給に上乗せがされています。
④ボーナスや交通費の支給がないので、あらかじめ時給に反映している
派遣薬剤師には、ボーナスや交通費の支給がありません。
そのため、ボーナスのことを考えずに行動をする必要がありますし、交通費が発生する際には、自腹で対応をしなくてはなりません。
このような背景があることから、派遣薬剤師の時給は、ボーナスや交通費のことを考慮した高めの金額設定となっています。
デメリットでもありますが、業績に左右されずに、あらかじめボーナス分が金額に反映されていると考えれば、メリットに置き換えることもできます。
また交通費が発生しないような「自宅から近い距離の派遣先」を選んでも、交通費がかからないので減額ということにはならないので、こういったケースでは、むしろ得だという見方もできるでしょう。
派遣薬剤師を選ぶメリット・デメリット
ここでは、派遣薬剤師を選ぶ「メリット」と「デメリット」をご紹介します。
派遣薬剤師として働くメリット5つ
派遣薬剤師として働くメリットは、下記の通りです。
- 短期間で稼げる
- 「残業なし」という働き方が可能
- 職場を変更しやすい
- 人間関係に対するストレスが減る
- 正社員にならずに、気になる職場を体験できる
順番に解説します。
①短期間で稼げる
派遣薬剤師は時給が高いので、短期間で稼ぐことができます。
残業が可能な場合には、残業を行うことが多い職場を探すと、一気に集中して稼げると言えるでしょう。
②「残業なし」という働き方が可能
所属する派遣会社に「残業を行うことは厳しい」と伝えれば、残業がない現場を紹介してもらえるので、「残業なし」という働き方が実現します。
ただし残業が可能な人に比べると、紹介してもらえる仕事数は減る傾向にあります。
また単に「残業は無理です」とだけ伝えると、派遣会社からの印象が良くないので、子供を保育園に迎えに行くので残業は厳しいなどと、納得できるような背景を話すと心象が良くなるでしょう。
③職場を変更しやすい
正社員薬剤師の場合には、退職の意志を伝えると、場合によっては引き留めにあう可能性があります。
無事に退職をしたとしても、職歴に傷がつくので、正社員薬剤師が退職をする際には、多かれ少なかれハードルがあると言えます。
一方で派遣薬剤師の場合には、契約を更新したくないと思う派遣先であれば、期間満了時に更新をしなければ済む話なので、気が楽だと言えるでしょう。
またこれによって、職歴に傷がつくこともありません。
このことから派遣薬剤師は、職場を変更しやすいと言えます。
④人間関係に対するストレスが減る
どのような職場で働く際も、人間関係は必ずついてくるので、多かれ少なかれストレスが発生するものです。
一方で派遣薬剤師として働く場合には、正社員薬剤師よりも、人間関係に対するストレスが減ると言えます。
なぜかというと、人間関係のストレスを抱えたとしても、働く期間が限定されていることから「契約満期まで我慢すれば良い」と割り切りやすいからです。
⑤正社員にならずに、気になる職場を体験できる
気になる職場があるけれど「実際に入社した後に、予想と違うことに気づいたらどうしよう」と不安になり、一歩を踏み出せない人もいるでしょう。
一度正社員として入社した際には、退職することにもハードルがありますし、職歴にも傷がついてしまうので、覚悟を要すると言えます。
一方で派遣薬剤師として働けば、契約満了まで勤務をすれば問題がないので、気になる職場にお試し感覚で働くことができます。
このことから派遣薬剤師は、正社員にならずとも「気になる職場」を体験できることが、メリットの1つだと言えます。
派遣薬剤師として働くデメリット4つ
派遣薬剤師として働くデメリットは、下記の通りです。
- 雇用の不安定さ
- 社会的な信用度が低くなる
- 即戦力としてのレベルが求められる
- 職場や患者との関係構築が難しい
以下に、順番に解説します。
①雇用の不安定さ
派遣薬剤師として働くと、常に雇用の不安定さがついて回ります。
なぜかというと、全ての仕事において契約期間が設けられているので、期間満了時に先方から更新がなければ、そこで終了となるリスクを抱えているからです。
すぐに他の派遣先が見つかれば良いですが、条件に合う案件がなければ、しばらく無収入状態だと言えます。
②社会的な信用度が低くなる
正社員薬剤師よりも派遣薬剤師の方が、社会的な信用度が低くなります。
例えば住宅ローンの申請時に、少ない金額しか借りられないこともありますし、そもそも審査から落ちるケースも見受けられます。
また社会的な信用度が低いと、新たにクレジットカードを作れないこともあります。
海外に行く際に、手持ちのクレジットカード会社では対応ができず、他のカードを作りたいことがあるでしょう。
また大きな金額の買い物をする際に、特定のクレジットカードの作成が、値引きの対象となるので、そのカードを作りたいケースもあるでしょう。
このような時に、派遣薬剤師は作成自体が難しいという状況が、実際にあります。
③即戦力としてのレベルが求められる
派遣薬剤師を採用する背景には、急な退職者の代わりや、風邪が流行する繁忙期のサポートを目的とすることが多いので、即戦力としてのレベルが求められます。
薬剤師としてのスキルはもちろんですが、臨機応変に対応をする「適応力」や、初対面の人間ともコミュニケーションを円滑にとる「ヒューマンスキル」なども、要求されると言えます。
現場で一から教えてもらいたい人や、指示がないと動ける自信がないという人には、厳しいと言えるでしょう。
④職場や患者との関係構築が難しい
正社員薬剤師であれば、1つの現場で長く働くので、社内の人間や患者との関係を構築しやすいと言えます。
派遣社員の場合には、期間限定という特性から、職場の人たちや患者との関係構築が難しいです。
じっくりと腰を据えて働きながら、人間関係の構築をしたいという人には、向かないと言えるでしょう。
派遣薬剤師に向いている人
派遣薬剤師に向いている人は、下記の通りです。
- 短期間で多くのお金を稼ぎたい人
- 残業をしたくない(または厳しい事情がある)人
- スキルアップを考えている人
- 期間を限定して働きたい人
- 限定的な人間関係でも気にならない人
それでは、順番に解説します。
短期間で多くのお金を稼ぎたい人
例えば奨学金などのローンを完済したい人や、留学をしたい人は、多くのお金をすぐに手にいれたいと思うでしょう。
そのためには短期間で多くのお金を稼ぐ必要がありますが、派遣薬剤師として働くと、希望をかなえやすいと言えます。
また契約期間があるので、必要なお金が稼げたあとは、契約期間の終了を待てばよいだけなので、正社員の退職時よりも気が楽だと言えます。
残業をしたくない(または厳しい事情がある)人
プライベートで、夢や副業などのやりたいことがあるので、残業をしたくない人もいるでしょう。
また小さい子どもがいるので、残業をしたくても厳しい事情がある人もいるでしょう。
事情はそれぞれですが、残業をさけたいという考えは共通しています。
派遣薬剤師は最初から残業の有無を選べるので、残業をしたくない(または厳しい事情がある)人に、向いていると言えます。
スキルアップを考えている人
薬剤師としてさらなる高みを目指したいので、知識や経験をつけて、スキルアップをしたいと考える人もいるでしょう。
そのような人には、派遣薬剤師が向いています。
正社員の場合には、自分が在籍している職場という世界の中でしか、知識や経験を増やすことができません。
一方で派遣薬剤師の場合には、正社員の時には病院で働いていた人が、ドラッグストアで働くことも可能ですし、少規模と大規模な双方の形態を経験することも可能です。
またさまざまな現場を渡り歩くので、多くの人と接することとなり、コミュニケーション能力も身に付きます。
期間を限定して働きたい人
長期に渡って働くのではなく、あくまで期間を限定して働きたい人には、派遣薬剤師という働き方が向きます。
「期間を限定して働きたい人」の具体例を出すと、下記の通りです。
- 次の転職先の入社日まで、一カ月ほどのブランクがあるので、その間だけ働きたい
- 夫の転勤に伴い、半年先に遠方に引っ越すので、それまでの期間だけ働きたい
正社員として働く場合には、期間限定で働きたいと伝えると、採用してもらえる確率が低くなります。
一方で派遣社員の場合には、最初から契約期間が決まっているので、問題はありません。
限定的な人間関係でも気にならない人
派遣薬剤師は、1つの派遣先で数カ月ほど働き、契約が終了したら新たな現場で働くことが一般的です。
そのため、煩わしい人間関係に巻き込まれる確率が低くなります。
その一方で、限定的な人間関係となるので、正社員と距離ができることがありますし、心細い思いをすることもあるでしょう。
こういった人間関係でも気にならない人や、稼ぐために割り切れるという人にとって、派遣薬剤師という働き方は、向いていると言えます。
派遣薬剤師で、高年収の求人を探す4つの方法
派遣薬剤師の仕事のなかでも、特に高年収の求人を探すためには、ポイントを押さえる必要があります。
ここでは、高年収の求人を探す4つの方法をご紹介します。
①派遣会社に複数登録をする
派遣薬剤師として働くためには、派遣会社に所属をする必要があります。
高年収の求人を探したい場合は、派遣会社を1つに限定せずに、複数登録をすると良いでしょう。
なぜかというと、派遣会社により、取り扱う求人が異なるからです。
より多くの派遣会社を利用することで、紹介される案件が増えるので、高年収の求人に出会える確率も高くなります。
②大手の派遣会社に登録をする
薬剤師の仕事を紹介する派遣会社は、いくつも存在しますが、少なくても1つは大手の派遣会社に登録をすると良いでしょう。
大手の派遣会社は紹介できる求人の数が多いので、時給の高い仕事に出会える確率も高くなります。
またサポート体制も整っており、キャリアの相談にもきちんと対応をしてくれます。
「高年収の案件を希望したい」と回答をすれば、求職者の希望を考慮しながら、条件に合いそうな派遣先を紹介してくれます。
経験が浅く、現状では高年収の仕事を紹介することが難しい場合には、今後に役立つ方法を的確にアドバイスしてくれます。
さらに大手の派遣会社は、派遣先への時給の交渉についても強いことが特徴です。
同じ案件を扱っているのに、大手の派遣会社の時給の方が高いのは、このような背景が関係しています。
もちろん中小規模でも、良い派遣会社は存在しますが、やはり「力」という部分で考えると、大手の派遣会社に軍配が上がります。
③働き先の種類を選ぶ
派遣薬剤師としての働き先には、下記などがあります。
- 調剤薬局
- ドラッグストア
- 企業の研究機関
- 病院※
※派遣薬剤師は法律において、基本的に病院で働けないことになっていますが、職員の「産休時のピンチヒッター」や、正社員への道を前提とした「紹介予定派遣」として働くことは可能です。
こういった働き先の中から、時給が高い傾向にあるものを選ぶと、高時給な案件が見つかりやすいと言えます。
例えばドラッグストアは、時給が高い傾向にあるので、こういった働き先を視野に入れることも良いでしょう。
さらに調剤薬局も併設されているところだと、調剤業務が発生するので、より時給が高めな派遣先を探しやすくなります。
このように「時給が高めの働き先」に対して、プラスアルファの条件を考えると、さらに稼げる派遣先が見つかります。
④「地方」や「交通が不便」な案件を視野に入れる
「地方」や「交通が不便」な場所にある派遣先を、候補として視野に入れると、高年収な案件が見つかりやすいと言えます。
こういったところは、人が集まりづらいので、時給を高めに設定する傾向があるためです。
なかには、住宅つきの高額求人案件も存在します。
そうは言っても、引っ越しまでは考えられないけれど、車通勤で行ける範囲内で対応が可能な場合には、このような求人を候補に入れても良いでしょう。
まとめ
派遣薬剤師の年収は、正社員よりも高く、条件によっては800万円近くを稼げることも分かりました。
ただし、雇用の不安定さなどのデメリットもあるので、こういった実情を理解しつつ、賢く選択することが大切です。
高年収・高時給求人にエントリーして、理想の生活を目指しましょう!